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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
biology

人類の寿命は「まだ限界に達していない」可能性 (2/2)

2026.02.23 17:00:22 Monday

前ページ長寿の“優等生”地域は今も伸び続けている

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問題は「限界」ではなく「格差」だった

一方で、すべての地域が順調というわけではありません。

1990年代から2000年代前半にかけては、寿命の短かった地域ほど急速に改善し、ヨーロッパ全体で格差は縮小していきました。

しかし2005年前後を境に、その流れは止まります。

東ドイツ、ベルギーのワロン地域、イギリスの一部などでは寿命の伸びが大きく減速し、ほぼ停滞しました。ヨーロッパは「伸び続ける地域」と「停滞する地域」に分かれ始めたのです。

研究が特に注目したのは、55〜74歳の死亡率でした。

乳児死亡率は低いままで、高齢層の死亡率も全体としては改善を続けています。しかし、55〜74歳、とくに65歳前後の死亡率の低下が鈍化し、一部地域では再上昇しています。

この年代は死亡数が多いため、ここでの停滞は全体の平均寿命を強く押し下げます。

要因として考えられるのは、喫煙や飲酒、栄養バランスの乱れ、運動不足といった生活習慣です。

また、2008年の経済危機は地域差を拡大させました。経済的に打撃を受けた地域では健康状態が悪化する一方、高度な雇用が集中する地域では改善が続きました。

つまり、寿命の伸びが鈍化している背景には「人類の生物学的限界」よりも、社会的・経済的要因が色濃く関わっている可能性が高いのです。

問われているのは「どこまで」より「誰が」

この研究が示したメッセージは二重です。

第一に、人間の寿命はまだ伸びる余地があるということです。少なくとも一部地域では、その証拠がはっきりと存在します。

第二に、その恩恵は均等ではないということです。

現在のヨーロッパは、寿命を押し上げ続ける地域と、停滞する地域に分かれつつあります。

これから問われるのは、「人類は何歳まで生きられるのか」という問いだけではありません。

「どの地域の人々が、その延び続ける寿命を享受できるのか」という問いです。

寿命の未来は、細胞の限界よりも、社会のあり方にかかっているのかもしれません。

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