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オフィスのスタイルが「オープン」か「個室」かで、脳の使い方が異なる / Credit:Canva
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オフィスが「オープン」と「個室」では従業員の脳の使い方が異なる (2/2)

2026.02.26 06:30:11 Thursday

前ページオフィスでの作業、「オープン型」と「個室型」では脳活動に違いが生じる

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脳は周囲の音を「無視する」だけでも疲れる

今回測定された波には、それぞれ異なる意味があります。

ガンマ波は高度な情報処理や複雑な統合と関連し、 ベータ波は能動的な思考や外向きの注意と結びつきます。

アルファ波はリラックスや受動的注意と関係し、 シータ波はワーキングメモリーや持続的努力、さらに疲労の蓄積とも関連すると考えられています。

オープンプラン環境では、ガンマ波とシータ波が時間とともに増加しました。

さらに、覚醒度(ベータ波とアルファ波の比)やエンゲージメント指標も上昇しています。

これは、単に作業をしているだけでなく、周囲の会話や足音、視界に入る人の動きといった刺激を処理し、それらを抑制するために追加の神経資源が必要になっている可能性を示唆します。

たとえるなら、静かな図書館で本を読むのと、隣で複数人が雑談している中で本を読むのとでは、同じ読書でも脳内の負担は違います。

雑音を「無視している」つもりでも、脳は常にその情報を処理し、取捨選択しています。

その抑制作業にはエネルギーが必要です。

一方、ワークポッドではベータ波やアルファ波が低下し、前頭部の活動が安定していきました。

外部刺激が少ないため、脳は課題そのものに集中でき、時間とともに効率的な状態へ移行したと考えられます。

研究者たちは、同じ作業をこなすのに必要な脳のエネルギーが少なくて済む、より効率の良い状態だと解釈しています。

ただし、この研究には限界もあります。参加者は26人と比較的小規模です。

また、この研究だけから「どちらの環境が長期的に健康や業績にどれくらい効くか」を数字で言い切ることはできません。

さらに、実験時間は短く、実際の長時間労働を完全に再現しているわけでもありません。

それでも、この研究は重要な示唆を与えます。

空間設計は単なるレイアウトの問題ではなく、脳の負荷設計でもあるということです。

オープンプランが常に悪いわけではありませんが、「集中を要する作業には刺激をある程度遮断できる空間の選択肢があった方がよさそうだ」ということが脳活動のデータから示唆されました。

今後は、より長時間の実験や異なる職種での検証、さらには個人差の分析が進むことで、「どんな人にどんな空間が合うのか」という問いにも具体的な答えが見えてくるでしょう。

働く場所は、単なる背景ではありません。

私たちは同じ仕事をしていても、周りの環境しだいで、知らないうちに脳にかかる負担を増やしたり減らしたりしているのです。

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