重さ250キロのスペースデブリも落下していた
ロッティさんに当たった物体の正体は、アメリカ製デルタIIロケットの第2段(Aerojet AJ10-118K)だったと見られています。
この第2段は1996年4月24日、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から、アメリカ空軍の人工衛星を打ち上げた後、軌道上に残されていました。
その後、軌道が徐々に低下する「減衰軌道」の状態になり、最終的に制御されない形で地球大気に再突入。
そこで機体は完全には燃え尽きず、破片がオクラホマ州とテキサス州にまたがって散乱しました。
このとき最も大きかった破片は、重さ250キログラムのタンク部品だったと言います。
このタンクはテキサス州ジョージタウン近郊の農家からわずか50メートルという近距離に落下しました。
しかし、もしロッティさんに当たったのが16グラムの破片ではなく、あるいはその250キログラム級の部材だったらどうなっていたでしょうか。
偶然という言葉で片づけるには、条件が危うすぎます。
さらに後年の調査で、材料の状態から、破片は少なくとも1200℃以上に加熱されていたことが示唆されています。
宇宙利用が拡大するほど、こうした「制御されない再突入」は社会にとって現実的な課題になります。
衛星やロケットが増えれば、軌道上の物体同士の衝突や破片の増殖が起こりやすくなり、宇宙空間の安全性そのものが揺らぐからです。
そして、軌道の安全が揺らげば、通信、測位(GPS)、気象観測といったインフラにも波及します。
ロッティさんの肩に当たった12.7センチの破片は、スペースデブリ問題が「宇宙だけの話では終わらない」ことを、分かりやすく示しているのです。


























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