ハエの次はマウスへ!この技術はどこまで行けるのか?
では、この「脳のコピーで動く技術」は、今後どこまで進むのでしょうか?
イーオン・システムズが次に狙っているのは「マウスの脳」です。
マウスの脳はハエの脳よりもはるかに複雑で、神経細胞の数はおよそ7,000万個と、ハエの約560倍にもなります。
当然ですが、これは一気にハードルが上がります。
しかしイーオンの研究チームは、次の段階に向けて、マウスの脳の詳細な配線図を作るためのデータを集め始めています。
実際にマウスの脳の中で神経がどのように活動するのかを詳しく記録し、「動くマウス脳」をデジタル空間に作り出そうというわけです。
会社は「ハエで感覚と動きの輪を作れたのだから、次のマウスが成功するかは『ハエでやったことを大きくしていく』というスケールアップの問題だ」と考えています。
この見立てが当たれば、話は一気に変わります。
脳の「配線の形」が情報のかなりの部分を抱えているのなら、必要なのは超精密な一細胞の再現ではなく、巨大な配線図と、それを動かす計算資源の拡大になります。
もちろん、ハエからマウスへの飛躍は簡単な話ではありません。
ましてや、その先にある「人間の意識をコンピューターに移す」というSFのような話までをすぐに信じ込むのは早すぎます。
それでも今回のハエの成功には、決して小さくない重みがあります。
イーオンは今回の存在を「本当にアップロードされた動物」だと呼んでいます。
これまで空想科学やSFの世界で語られていた「脳のアップロード」という夢物語が、たとえ小さなハエの姿だとしても、はっきりとした現実の映像になったのです。
長いこと夢だった「意識のデジタル化」という大きな問いは、空想だけで片づけられない段階に入りつつあるのかもしれません。
ですが研究者たちの目標はそこでは終わりません。
イーオンは自分たちの取り組みを、挑戦的な言葉で飾ります。
「脳アップロード」という表現も、その一つです。
実際、同社は最終的に人間規模へ向かう道を示唆しています。
だからこそ、この話題は科学のニュースであると同時に、社会のニュースにもなります。
ただ人間の脳アップロード前に別の問題も立ち上がるでしょう。
たとえば、計算の中で動く生き物が当たり前になったら、私たちはそれをどう扱うのでしょうか。
痛みや苦しみがあるのかないのか、そもそも「感じている」と言えるのか。
今すぐ答えが出る問いではありません。
それでも、目の前で身づくろいをする姿を見ると、完全な無生物として片づけるのは難しくなります。
イーオンも、作り出す存在を気にかけるべきだという立場を示しています。
ここは、技術が進めば進むほど重くなる論点です。
そしてもう一つの利点は、こうした模型が「増やせる」可能性です。
生きたハエは一匹ずつしか存在しませんが、計算の中のハエは、理屈の上では複製できます。
条件を変えた実験を同時に走らせることも考えられます。
これは脳の研究を加速させる可能性を秘めています。
もしかしたら未来のリアルなゲームの中でプレーヤーの周りを飛ぶハエは、単純な繰り返しプログラムではなく、リアルさを出すために脳モデルで駆動しているかもしれません。
もっともその時代には、ゲーム内で全脳モデルで動いているのは、ハエだけではないでしょう。
イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、そして自らをプレーヤーだと信じている「何か」でさえも。





























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