美は文明ではなく生物学的なものかもしれない

では、なぜこんなことが起きるのでしょうか。
研究者たちは知覚のしかたにある共通の傾向、つまり人間とほかの動物が感覚の土台の一部を共有している可能性があると考えています。
地球上の動物は様々ですが、音の感じ方の深い部分に共通点があるなら、その動物の相手だけでなく、人間の感覚系にも少し刺さってしまうのではないか、というわけです。
研究チームはこれを「美しいものへ向かう共有された感覚バイアス」と表現しています。
つまり人間の美意識は、文明が全部つくった上澄みではなく、もっと古い生物学の地層の上に乗っているかもしれない、という話です。
まるで同じ設計思想で作られた別モデルの機械みたいな話です。
また、音楽をよく聴く人ほど少し一致しやすかったという結果も面白いです。
これは単純に「音楽好きは特別」という話ではありません。
著者たちは、ふだんから音をよく聞いている人は、聴覚的な注意や聞き分けの力が上がっていて、そのことが動物の鳴き声の細かな魅力を拾いやすくしているのかもしれないと考えています。
実際、別の研究では、人間は哺乳類だけでなく、鳥や両生類を含む幅広い脊椎動物の声から、興奮の強さをかなりうまく読み取れることが示されています。
もちろん、今回の研究は「どの生物にも通用する単一の美が存在する」と述べているのではありません。
低い音や明るさ、長さのように効いていそうな要素はいくつかありましたが、全部を一本で説明する万能鍵にはなりませんでした。
複雑さは万能鍵の候補には挙がるものの、支配的とまでは言えませんでした。
魅力は、いくつもの手がかりが同時にかみ合って立ち上がるもので、単一の特徴で決められるほど単純ではないのでしょう。
それでも音の美的判断が種を超えて深い部分で繋がっている可能性を示せたのは、非常に重要です。
もしこの考えが正しく、さらに他の視覚的なものにまで拡大できるなら「人間の美意識は人間だけが持つ高度な頭脳の産物である」という考えを大きく揺るがせるでしょう。
近年、動物にも喜怒哀楽に近い状態があり、そのしくみの一部に人間と重なる部分があるのではないか、という研究が進んでいます。
ですが今回の研究はそれが原始的な感情だけでなく「美」にまで及ぶ可能性を教えてくれました。






























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