「重い星ほどブラックホールになりやすい」は違った――常識を裏切る45倍の壁を観測
「重い星ほどブラックホールになりやすい」は違った――常識を裏切る45倍の壁を観測 / Credit:Canva
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「重い星ほどブラックホールになりやすい」は違った――常識を裏切る45倍の壁を観測 (2/3)

2026.04.03 20:30:04 Friday

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太陽の45倍以上の重さのブラックホールは「星の死」で作られたわけではないようだ

太陽の45倍以上の重さのブラックホールは「星の死」で作られたわけではないようだ
太陽の45倍以上の重さのブラックホールは「星の死」で作られたわけではないようだ / もともと二連ブラックホールだったものが衝突した時の重力波を観測することで、小さなブラックホールの質量を予測することができます。Credit:Canva

どうやってブラックホールができない場合を探したのでしょうか?

ここで鍵となるのが「連星ブラックホール」という、2つがペアになったブラックホールの「軽いほう」でした。

なぜ重いほうではなく、軽いほうに注目する必要があったのでしょうか?

それは先に述べたように、重い方は既に合体済みの可能性があるからです。

それに対して、軽いほうのブラックホールは、そのような合体後ではなく、星の死によって直接誕生したブラックホールである可能性が比較的高くなります。

似た話は、太陽系内の惑星にも言えます。

太陽系内の惑星も、小さな原始惑星どうしが何度もぶつかり合って大きくなりました。

たとえば地球や金星は、いくつもの原始惑星が関わるような、何度もの合体を経て現在の姿になったと考えられています。

一方で小さな水星や火星は、大規模な合体の回数が比較的少なく、原始惑星の生き残りに近いのではないかとの説もあります。

(※個数においては現在でも諸説あります)

同様に研究者たちは軽いほうの質量に注目することで、より星の死と直接結びついたブラックホールの重さを調べていきました。

その結果、非常にはっきりした特徴が見えてきました。

まず、重いほうのブラックホールの質量分布を見ると、太陽の約45倍から120倍くらいまで、特に途切れず連続的に存在しているように見えます。

ところが、軽いほうのブラックホールだけに注目すると、その分布に大きな“空白”が現れたのです。

具体的には、太陽質量のおよそ45倍あたりを下端として、そこから100倍以上の領域まで、ブラックホールがほとんど見つからない帯が存在していました。

(※既存の理論では単一の星の死から太陽質量の50倍のブラックホールができないとされていましたが、観測データはもう少し軽い太陽質量の45倍のブラックホールでもできにくいことがわかりました)

さらに重要なのは、この「空白」が偶然ではないことです。

研究チームは、「ギャップが存在しない」と仮定したモデルと、「ギャップがある」と仮定したモデルを比べましたが、その結果、ギャップを含むモデルのほうが統計的によりデータに合っていることが示されました。

つまりこの空白は、単なる観測の偏りではなく、実際に宇宙に存在する構造である可能性が高いのです。

ここでさらに面白い証拠が加わります。

それが「スピン」、つまりブラックホールの回転の情報です。

ブラックホールはただの重い塊ではなく、コマのように回転しています。

研究では、この回転の分布にも注目したところ、太陽質量45倍あたりを境に、ブラックホールのスピンの性質が変わる兆候が見つかりました。

これはとても意味深です。

なぜなら、ブラックホール同士が合体してできた“二世代目”のブラックホールは、合体の影響で比較的強く回転する傾向があるからです。

つまり、「重いブラックホールほど回転の性質が変わる」という観測結果は、「そのあたりから上は、単一の星から直接生まれたものではなく、合体でできたものが増えている」という解釈と自然につながるのです。

こうして質量分布とスピン分布という、まったく異なる2つの観測結果が、同じストーリーを指し示しました。

研究者たちはこの点について「太陽の45倍以上の質量を持つブラックホールは、極めて質量の大きい死にゆく星の崩壊によってではなく、過去のブラックホールの合体によって生じたものであることを確認した」と述べています。

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