ブラックホールから星の内部を読む時代へ

今回の研究により、星の死によって太陽質量45倍以上のブラックホールはできにくいという、理論上の予測が観測によって確からしいことがわかりました。
この空白の存在を確かめることで、私たちはさらに深いことを知ることができます。
それは星がどのように生まれ、どのように進化し、どのような最期を迎えるか、という壮大な物語です。
星は誕生から死までの長い一生の中で、中心部でさまざまな元素を作り出しながら輝き続けています。
とくに重い星では、中心部で炭素や酸素のような私たちにも馴染み深い元素が次々に作られていきます。
実はこの「炭素」や「酸素」などの元素を生み出す核反応の仕組みや強さは、これまで主に理論や実験室でのデータに頼ってきました。
しかし、今回発見された禁制領域の「空白」の位置、とくに下端の位置は、実際の星の内部で元素がどのくらいの強さで反応しているのかを間接的に教えてくれる、重要な情報源になるのです。
具体的には、研究チームはこの質量ギャップの位置から、星の中心でヘリウムが炭素と反応して酸素を作る反応(専門的には炭素とヘリウムが融合して酸素になる反応)の強さを絞り込むことができる可能性を指摘しています。
これは驚くべきことです。
なぜなら、ブラックホールの質量を詳しく調べることで、私たちは星の中心の核反応という、まさに宇宙で最も謎めいた現象にまで「逆探知」できるからです。
ただ研究者はこの解釈が絶対とは言い切れないことも認めています。
実際に観測されたのは、「ブラックホールが少なくなっている空白」であり、「対不安定性超新星によって星が吹き飛ばされたこと」そのものを直接見たわけではないからです。
しかし、この研究の意義は非常に大きいです。
これまで私たちはつい、星が重ければ重いほど最後に巨大なブラックホールを残すと考えがちでしたが、重すぎるとブラックホールにすらならない場合がある、という可能性をはっきりと示したからです。
今後、さらにブラックホールの合体が観測されれば、この禁制領域の存在がどれほど確かなのか、またどのような仕組みが本当に働いているのかが、もっと明らかになるでしょう。



























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