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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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ジブラルタルの猿が「土を食べる」ようにーー原因は「観光客」にあった? (2/2)

2026.04.25 12:00:05 Saturday

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土は「胃薬」なのか?サルたちの適応戦略

では、なぜジャンクフードを食べたサルは土を食べるのでしょうか。

研究者たちは、その理由として「消化の保護」を挙げています。

ジャンクフードは脂肪・糖分・塩分が多く、食物繊維が少ないため、サルにとっては本来の食事とは大きく異なります。

このような食事は、腸内マイクロバイオーム(腸内細菌のバランス)を乱し、消化不良や体調不良を引き起こす可能性があります。

そこで登場するのが「土」です。

研究者は、次のように説明しています。

土、特にジブラルタルで多く食べられている赤い土(テラロッサ)は、粘土成分や鉄分を豊富に含みます。

粘土には、胃の酸性度を調整したり、有害物質を吸着したりする性質があることが知られています。

つまりサルたちは「ジャンクフードで乱れた消化環境を、土で緩和している」可能性があるのです。

実際に観察では、アイスクリームやビスケット、パンを食べた直後に土を口にする例も確認されています。

一方で、この行動は栄養補給のためではないと考えられています。

妊娠中や授乳中のサルで土食いが増える傾向は見られなかったためです。

さらに興味深いのは、この行動が「文化」として広がっている点です。

群れごとに好む土の種類が異なり、他の個体の行動を見て学習している様子が観察されました。

これは遺伝ではなく、社会的学習によって伝わる「行動文化」の特徴です。

研究者たちは、この現象が短期間で広がっていることから、生物学的進化ではなく、行動の柔軟性による適応だと結論づけています。

まとめ

今回の研究は、サルが単に環境に適応しているだけでなく、人間によって変えられた環境に対して、新しい「文化」を生み出していることを示しています。

観光客の与えるジャンクフードが、サルたちの食生活を変え、さらには「土を食べる」という新たな行動を生み出した可能性があるのです。

しかしこれは、適応の成功例としてだけ見るべきではありません。

サルがジャンクフードを必要とし、それを補うために土を食べるという状況自体が、人間の影響の大きさを物語っています。

彼らの奇妙な行動は、単なる動物の話ではなく、人間が野生動物に与えている影響を映し出す鏡なのかもしれません。

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