失ったクチバシを「道具」で補うオウムが世界で初めて確認される
失ったクチバシを「道具」で補うオウムが世界で初めて確認される / Credit: Amalia P. M. Bastos et l., Scientific Reports(2021)CC BY 4.0
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失ったクチバシを「道具」で補うオウム、世界初の事例

2021.09.14 18:00:34 Tuesday

自然界にいると、天敵との争いや不測の事故により、体の一部を失うことがあります。

人間なら義足や義手で補うこともできますが、野生生物だとそうはいきません。

しかし中には、自然物を失った部位の代わりとして使う賢い動物もいます。

しかしニュージーランド・オークランド大学(University of Auckland)の研究チームは2021年に、同国のウィローバンク野生動物保護区(Willowbank Wildlife Reserve)で飼育されているミヤマオウムの「ブルース」に、その行動が見つかったと発表したのです。

ブルースは、失った上側のクチバシの代わりに、舌と小石を使って毛づくろいをしていたとのこと。

オウムから欠損部位を道具で補う行動が確認されたのは、これが世界で初めてです。

研究の詳細は2021年9月10日付けで学術誌『Scientific Reports』に掲載されています。

 

Disabled kea uses tools for self-care https://phys.org/news/2021-09-disabled-kea-tools-self-care.html Bruce The Disabled Kea Has Learnt To Practice Self Care With Tools https://www.iflscience.com/plants-and-animals/bruce-the-disabled-kea-has-learnt-to-practice-self-care-with-tools/
Self-care tooling innovation in a disabled kea (Nestor notabilis) https://www.nature.com/articles/s41598-021-97086-w

小石を「クチバシ代わり」に使うことが判明

ブルースは2013年の幼鳥時に、ニュージーランド南島にあるアーサーズ・パス国立公園にて、クチバシの上半分が欠損した状態で発見されました

何が原因でクチバシを失ったのかは不明ですが、研究チームは、害獣捕獲用のトラップで事故を起こしたのではないかと考えています。

ブルースは動物病院で治療を受けた後、ウィローバンク野生動物保護区に移され、今日に至ります。

普段の食事では、クチバシを使わなくても食べられる柔らかいエサを与えていますが、ブルースは硬い食べ物でも硬い場所に押し当てて食べることを覚えたそうです。

ブルースが欠損部位を道具で補っていることに飼育員が気づいたのは、2019年末のことでした。

ブルースは、上のクチバシの代わりに舌を巧みに使って、果物や小物、木の枝を挟むことができます。

そして、この行動の際は、ほぼ必ず小石を使って毛づくろいをしていたのです。

これに注目した研究チームは、この行動が意図的であることを確かめるべく、調査を開始。

保護区内の鳥小屋で、9日間にわたる観察を行いました。

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