失ったクチバシを「道具」で補うオウムが世界で初めて確認される
失ったクチバシを「道具」で補うオウムが世界で初めて確認される / Credit: Amalia P. M. Bastos et l., Scientific Reports(2021)
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失ったクチバシを「道具」で補うオウム、世界初の事例 (2/2)

2021.09.14 18:00:34 Tuesday

前ページ小石を「クチバシ代わり」に使うことが判明

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ブルースが道具をつかって出来ること

その結果、ブルースが意図的に欠損部位の代わりに道具を使っていることは、以下の5つの行動から証明されました。

・ブルースが毛づくろいをする時、90%以上の確率で小石を選んでいた

・ブルースが小石を落とした時、95%の確率で小石を回収、あるいは他の小石に交換してから毛づくろいを再開した

ブルースは環境中の小石をランダムに選ぶのではなく、毛づくろいに最適なサイズの小石を選んでいた

・同じ鳥小屋にいる他の12羽を観察したところ、小石を使って毛づくろいする鳥はいなかった

・他の鳥が石を咥える時は、ブルースとは違って、サイズの異なる石をランダムに選んでいた

以上のことから、ブルースは欠損部を補うために、同じサイズの小石を利用していると結論できます。

ブルースが物を咥える様子
ブルースが物を咥える様子 / Credit: Amalia P. M. Bastos et l., Scientific Reports(2021)

研究主任のアマリア・バストス氏は、次のように述べています。

ブルースが道具を使うことで、ミヤマオウムの知能の高さが浮き彫りにされました。

ミヤマオウムは野生下であまり道具を使わないのですが、ブルースの行動は、彼らの知能が非常に柔軟であることを示します。

ミヤマオウムは、身体的に問題が生じても、その障害に適応して柔軟に解決できるのでしょう」

鳥は、動物の中でも、非常に知能の高い生き物です。

最近では、野生のオウムが木の枝を食用ナイフのように使う様子や、人間の言葉を聞き覚えたアヒルが「ボケナス(You Bloody Fool)」としゃべる様子が観察されています。

こちらが、木の枝をナイフに使うオウム。

こちらが、アヒルが発した「ボケナス(You Bloody Fool)」の音声。

また、私たちの身近な存在であるカラスは、人間の6〜8歳児と同等の知能を持つと言われています。

鳥たちは一体、どれほど賢いのでしょうか。

今後も鳥の行動から目が離せません。

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失ったクチバシを「道具」で補うオウム、世界初の事例 (2/2)のコメント

ゲスト

そういう目的に石を使っていることが分かったということで、もっと使いやすい道具をこっそり置いてあげたらやっぱりお気に入りになるんですかね?

ああ

釧路湿原野生生物保護センターでは、交通事故でクチバシを失ったオジロワシ「ベック君」のために人工のクチバシを作ってあげてたな
3Dプリンタで人工クチバシを成形したのち、センターに協力している歯科医師がドリルで削って微調整して、ハーネスを使ってベック君に装着してあげてた
この記事のミヤマオウムのブルース君にも人工クチバシを作ってあげて欲しい…

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