その後、ローマ時代まで失われた可能性
今回の研究で特に重要なのは、モツァ遺跡から2種類のドロマイト系床材が見つかったことです。
一つは、ドロマイトを砕いて骨材として混ぜたタイプです。
これは、砂利や小石をコンクリートに混ぜるように、材料の一部として加えたものと考えられます。
一方でもう一つのタイプでは、ドロマイトが結晶として再形成されていました。
これは、ドロマイトを焼成し、水と反応させた後、再び鉱物として固まる過程が起きていた可能性を示します。
研究チームは、ここに「ドロマイト・石灰サイクル」と呼べるような複雑な工程が存在した可能性を見ています。
この点が、今回の発見を単なる「古い床材の発見」ではなく、技術史の見直しにつながるものにしています。
さらにモツァでは、2つの窯(かま)の跡も見つかっています。
それらは直径1.5〜2.6メートル、深さ約50センチメートルの浅い火床で、一方はドロマイト石灰用、もう一方は方解石石灰用に使われたと考えられています。
もしこの解釈が正しければ、モツァの人々は材料ごとに窯を使い分けていたことになります。
方解石とドロマイトでは、焼く温度や処理条件が異なります。
別々の窯を使っていたということは、彼らが「石はどれも同じ」と考えていたのではなく、石の性質の違いを経験的に理解していた可能性を示します。
【実際に発見されたドロマイト質漆喰の画像がこちら】
しかも、ドロマイト質の石灰漆喰には実用上の利点があります。
ドロマイトが豊富な地域であれば、遠くから方解石を運ばなくて済みます。
また、ドロマイトは方解石より低い温度で焼成できるため、燃料の節約にもつながります。
さらに、うまく作れば通常の方解石質の漆喰よりも強く、水に強い材料になる可能性があります。
床材として使うなら、これは大きな利点です。
日々人が歩き、湿気にもさらされる床には、丈夫さと耐水性が求められるからです。
ただし、この技術はその後、長い間考古記録から姿を消したようです。
ドロマイト質の石灰漆喰の技術は、再び確認されるまでローマ時代を待つことになります。
つまりモツァの発見は、「ローマ人が初めて到達した技術」だと思われていたものが、実は新石器時代に一度達成され、その後忘れられた可能性を示しているのです。
もちろん、モツァの人々が現代化学のように鉱物名や反応式を理解していたわけではありません。
しかし、彼らは石を選び、焼き、水と反応させ、床材として使える形に仕上げる工程を実践していました。
それは、文字も土器もない時代の人々が、生活の中で磨き上げた高度な材料技術だったと言えます。
考古学の面白さは、こうした発見によって「古い時代ほど単純だった」という思い込みが揺さぶられるところにあります。
モツァの床は、ただ人々の足元を支えていた建材ではありません。
そこには、石の性質を見抜き、火を操り、共同作業で大規模な床を作り上げた新石器時代の知恵が刻まれていたのです。



























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