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※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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ビールが町を呑み込み8名が死亡!1814年の「ロンドンビール洪水」はなぜ起こったのか?

2024.11.30 Saturday

洪水や津波は恐ろしい災害の一つですが、それが雨水や海水ではなく、「ビール」で起こったという前代未聞の事件が記録されています。

これは「ロンドンビール洪水(London Beer Flood)」として知られ、1814年の英国ロンドンの貧民街で発生しました。

ビールが津波のように町を呑み込み、なんと8名の死者を出したのです。

この大事故は一体どんな経緯で起きたのでしょうか?

 

In 1814, London Was Terrorized By A 320,000-Gallon Tsunami Of Beer https://www.iflscience.com/in-1814-london-was-terrorized-by-a-320000-gallon-tsunami-of-beer-76882 This 1814 Beer Flood Killed Eight People https://www.smithsonianmag.com/smart-news/1814-beer-flood-killed-eight-people-180964256/ The London Beer Flood https://www.history.com/news/london-beer-flood

なぜ大事故は起こってしまったのか?

事件が起きたのは1814年10月17日(月曜日)のこと。

ロンドン・ウェストミンスター市にあるセント・ジャイルズ教区に、1764年から続くビール工場がありました。

ここは「ホース・シュー醸造所(Horse Shoe Brewery)」と呼ばれており、セント・ジャイルス貧民街に建っていて、従業員やその家族が地下室で起居していました。

1809年からは「ヘンリー・ミュー社(Henry Meux & Co)」として、ロンドン・ポーターというダークブラウン色のビールの主要な生産所となっています。

ポーターは18世紀に開発され、焙煎した茶色麦芽を用いて醸造することで、焦がした麦芽の芳香とホップの苦さが味わえるビールです。

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1800年当時の「ホース・シュー醸造所」を描いた絵/ Credit: en.wikipedia

醸造所にはビールを発酵させるための巨大な樽があり、高さは約6.7メートルに達しました。

正確な数字はわかりませんが、樽の中では最大7500バレル(1バレル=約159リットルなので、全部で約120万リットル)のビールが醸造されていたといいます。

その日の午後4時30分頃、醸造所の従業員であるジョージ・クリックはビールの入った大樽を検査していました。

すると樽を固定しておくための箍(たが)の一つが外れて落ちていることに気づきます。

樽は木の板を何枚も組み合わせて作っており、その木材同士を固定しておくための鉄のリングが箍(たが)です。

大樽も巨大な分、箍(たが)も非常に大きく、1個でなんと317キロの重量がありました。

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樽を固定しておくための箍(たが)が外れていた/ Credit: ja.wikipedia

しかし醸造所で17年間働いてきたクリックにとって、それはあまり珍しいことではありませんでした。

年に2〜3回は樽から箍(たが)が外れていることがあったので、そこまで気にかけなかったのです。

醸造所の責任者にそのことを報告しても「後日修理を頼めば問題なかろう」と指示されたので、クリックは箍(たが)を外したまま放置し、修理依頼の手紙を書き始めます。

大事故が起きたのはその直後のことでした…

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