アザラシの赤ちゃんを襲う「コルク抜き殺人鬼」の正体

偶然が、事件を動かした
2024年1月。
事件は、まったく予想外の場所から動き始めました。
英セント・アンドリュース大学の海洋生態学者イジー・ラングレーさんは、当時セーブル島にいました。
ただし、コルク抜き事件を調べるために来たわけではありません。
彼女の本来の目的は、タラでした。
正確に言うと、セーブル島周辺のタラがいったいどこを泳ぎ回っているのかを突き止めるための調査です。
とはいえ、海の中を泳ぐ魚を一匹一匹追跡するのは現実的ではありません。
そこで研究チームが使う作戦が、ちょっと変わっています。
タラを食べに来るアザラシのほうに、小さな発信機を取り付けてしまうのです。
アザラシをいわば「生きた観測ロボット」として使い、その行動越しにタラの分布をあぶり出す——そんな調査の最中でした。
ところがのちの取材によれば、作業中、彼女は予想もしていなかった光景を目にしてしまいます。
体長2メートルを超える大人のオスのハイイロアザラシが、離乳したばかりの子アザラシの上に、どっかりとのしかかっていたのです。
オスは子アザラシの首の後ろを大きな犬歯でがっちりと咥えました。
そのまま、ずるずると海へ引きずり込んでいきます。
海に入ったオスは、子アザラシの体から肉を引きちぎりながら、何度も何度も頭を後ろに反らしていました。
これは、ちぎった肉を喉の奥へ送り込むときに見られる、ごくありふれた「食事の動作」です。
つまりオスは、子アザラシをただ攻撃していたのではなく、食べていたのです。
セーブル島では40年近く、その姿がはっきりとは確認されていなかった「コルク抜き殺人鬼」。
サメでもなく、ボートのプロペラでもなく同じハイイロアザラシの仲間——成体のオスでした。
セーブル島で長く確認されてこなかった存在が、ついに姿を現した瞬間でした。
「ジャケット脱がし」——犯行手口の解明

犯人の姿が見えた以上、次に気になるのは「どうやってあんな螺旋の傷ができるのか」です。
研究チームが死体を一つひとつ詳しく調べていくと、犯行の手口が浮かび上がってきました。
大人のオスは、まず子アザラシの口元のあたりに、大きな犬歯で噛みつきそのまま、自分の体をぐるりとひねるように回転させながら、皮膚ごと脂肪の層を引き剥がしていくのです。
イメージとしては、ミカンの皮を、ヘタのところから親指でべりべりと剥いていく場面に近いかもしれません。
噛みついた状態で体をねじるから、傷跡が自然と螺旋を描くわけです。
それだけではありません。
脂肪層には、ヒレの爪でひっかいた痕跡もくっきり残っていました。
アザラシのヒレに爪があると言われてもピンとこないかもしれませんが、ハイイロアザラシのヒレ先には、しっかりとした鋭い爪が並んでいます。
それを使って獲物を押さえ、引き剥がす作業を補助しているのです。
ラングレーさんは取材でこう語っています。
「彼らはヒレを驚くほど器用に使うんです」
さらに衝撃的だったのは、肩甲骨ごと前ヒレが丸ごと引き抜かれている死体が複数見つかったことです。
研究チームはこの状態を、論文の中で「ジャケット」と呼んでいます。
皮膚と脂肪が筒のように剥がされ、まるで上着をするりと脱がされたように見えるからです。
これらの傷の特徴は、2016年にスコットランドで記録されたハイイロアザラシの共食い事例と、多くの点で一致しました。
大西洋をはさんで遠く離れた2つの繁殖地で、犯人の「手口」が同じだったのです。
ここまでで、犯人も手口も明らかになってきました。
しかし本当に衝撃的だったのは、ここから先——被害の全体像が浮かび上がってきたときでした。



























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