社会不安が強い人は「群衆全体がこちらに来る」と判断しやすい
1人の歩行者を見る課題では、社交不安が強い人ほど、実際には少し横へ外れて進む人物まで「自分に向かっている」と判断しやすくなっていました。
つまり、相手の進路が曖昧なとき、「横を通る」と考えるよりも、「こちらに来る」と受け取りやすかったのです。
10人の群衆を見る課題でも、同じような偏りが確認されました。
群衆の中で真正面へ歩いている人が比較的少ない場合でも、社交不安が強い人は、集団全体が自分へ近づいていると判断しやすかったのです。
この群衆課題には、重要な工夫が施されていました。
横へ外れて歩く人物の角度は、最初の課題で調べた各参加者の判断の境界より、さらに6度外側に設定されていました。
つまり、もともとの方向判断の違いに合わせて、映像の難しさを一人ひとり調整していたのです。
それでも社交不安の強さによる違いが残ったことから、1人の進路を読み取る段階だけでなく、複数人の動きをまとめて判断する段階にも偏りが生じている可能性があります。
追加の分析では、この接近判断の偏りは、特に「他人から見られたり、評価されたりすることへの不安」と関係していました。
一方、人と会話したり交流したりすることへの不安とは、同じような明確な関係は確認されませんでした。
この研究は、社交不安が相手の表情や言葉だけでなく、「人が自分へ近づいているか」という素早い判断にも関係する可能性を示しました。
こうした接近の過大評価は、相手との距離を実際より近く感じさせ、主観的な危険感を強める要因になっている可能性があります。
その結果として、無意識に距離を取ろうとする身体的な回避行動や、姿勢の揺れといった反応につながっているのかもしれません。
今後、現実に近い環境でも同じ傾向が確かめられるなら、こうした自動的な視覚判断を踏まえた新しい身体的アプローチや曝露法の開発にもつながり、人混みで感じる負担を理解・軽減する手がかりになる可能性があります。



























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