あお向けになっただけで死ぬ危険も
ここで重要なのは、虫が「死んだからあお向けになる」とは限らないことです。
反対に、「あお向けになって起き上がれないために死ぬ」という場合もあります。
健康な昆虫の多くは、誤って背中から落ちても、自力で元の姿勢へ戻れます。
脚を地面や壁に引っかけたり、翅を動かしたり、胴体を勢いよく揺らしたりして、体を反転させるのです。
しかし、すべての場所で簡単に起き上がれるとは限りません。
滑らかで平らな床では、脚を引っかける場所がありません。
また、体が弱っていたり、病気にかかっていたりすると、体をひねるだけの力も残っていない可能性があります。
その結果、虫は仰向けのまま身動きが取れなくなります。
その状態が長く続けば、水分や食べ物を得られなくなり、脱水や栄養不足によって死ぬことがあるのです。
また、殺虫剤の影響を受けた虫では、この問題がさらに顕著になります。
市販されている殺虫剤の多くは、昆虫の神経系に作用します。
神経と筋肉の連携が乱れると、脚が無秩序に動いたり、全身がけいれんしたりすることがあります。
その激しい動きによって虫が仰向けに転がる場合があります。
ところが、神経系が正常に働いていないため、ひっくり返ったあとに脚を協調させて起き上がることができません。
元気な虫なら簡単に脱出できる姿勢でも、殺虫剤で弱った虫にとっては致命的な罠になってしまうのです。

なので、ひっくり返っているだけで、虫が既に死んでいるとは限りません。
道ばたのセミでも、あお向けになってはいるが脚がひくひく動いていることがありませんか?
その場合は、姿勢を戻せれば、また元気に飛び立てる可能性もあります。
ですので、虫がどうしても無理でないなら、セミをうつ伏せにしてあげるといいかもしれません。
触るのを避けたいなら、小枝なんかで転がすのもいいでしょう。






























