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負傷者の脚を即切断するアフリカのアリ / Credit:Canva,ナゾロジー編集
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負傷した仲間の足を「即座に切り落とす」アリを発見!生存率が2倍に

2025.10.27 06:30:23 Monday

私たち人間は、壊死や重い感染症が広がるのを防ぐため、やむを得ず手術によって手足を切断することがあります。

この「最悪を想定しての決断」は、命を守るための苦渋の選択です。

実は、こうした“予防的な切断”のロジックは、人間だけのものではありません。

アフリカ産のアリ(学名:Camponotus maculatus)が、仲間の命を救うために「脚の切断」を迷わず実行していることが、ドイツ・ヴュルツブルク大学(Julius-Maximilians-Universität Würzburg)の研究チームにより、明らかになったのです。

本研究は2025年10月22日付の『Proceedings of the Royal Society B』誌に掲載されました。

Carpenter Ants: Better Safe than Sorry https://www.uni-wuerzburg.de/en/news-and-events/news/detail/news/carpenter-ants-amputation/
Better safe than sorry: leg amputations as a prophylactic wound care behaviour in carpenter ants https://doi.org/10.1098/rspb.2025.1688

アフリカ産アリは負傷者の脚を“迷わず切る”

野生動物の世界では、狩りや餌探し、縄張り争いなどで怪我を負うことは日常茶飯事です。

傷口にはさまざまな細菌やカビなどの病原体が侵入しやすく、放っておくと全身感染に発展し、命を落とすことさえあります。

とくにアリやハチ、シロアリといった「社会性昆虫」は、多くの仲間が密集して巣で生活しているため、感染症が広がるリスクが格段に高い生き物です。

こうした危機を乗り越えるため、社会性昆は集団防衛戦略を持っています。

たとえば、アリの一種Megaponera analisは、傷ついた仲間の傷に抗菌物質を塗布し、生存率を大幅に高めていることが報告されています。

では、今回の主役であるアフリカ産のアリ「Camponotus maculatus」はどうでしょうか。

ヴュルツブルク大学の研究チームは、Camponotus maculatusのコロニーを実験室で飼育し、意図的に個体の脚を傷つけることで「感染あり(細菌を塗布)」と「感染なし(無菌処置)」の2グループを作成しました。

さらに、傷ついた個体を巣に戻し、仲間たちがどのような対応を見せるのかをじっくり観察しました。

このアリたちが見せた“治療法”は、なんと「傷ついた脚を切断する」というものでした。

傷のある脚を見つけると、仲間のアリは自分の大顎でその脚を根元から噛み切ります。

ここで特筆すべきは、「感染しているかどうか」や「傷が新しいか古いか」といった条件に関係なく、とにかく“念のため”切断が行われるという徹底ぶりです。

つまり、「最悪の事態」を常に想定して、感染が広がる前に脚ごと切り落としてしまうのです。

実験では、傷ついた個体が巣に戻ってから最初の2時間以内に、多くの個体で切断が行われていました。

では、この「緊急切断手術」には、どれほどの効果があるのでしょうか。

次ページ「即切断」がアリの生存率を2倍以上に高めていた

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