「即切断」がアリの生存率を2倍以上に高めていた
分析の結果、この「予防的切断」は極めて高い効果を持つことがわかりました。
細菌感染を受けた個体であっても、早め(0〜6時間以内)に切断すると死亡のリスクは大きく下がることが分かりました。
たとえば、1時間後の切断で死亡率が最大66%(低濃度)、51%(高濃度)低下しました。
一方、12時間を超えた後の切断では、死亡率低下の効果はほとんどなくなります。
つまり、「なるべく早く切断する」という素早い判断こそが、仲間の命を救う最善の方法であり、アフリカ産アリはその戦略で生存率を2倍以上に高めていたのです。
さらに興味深いのは、仲間のアリは「感染しているかどうか」を即座に見分けられないという点です。
体表の化学物質には、感染の有無による変化が24時間経過しないと現れません。
したがって、感染が広がる前に「とりあえず切っておく」という決断が選択されてきたのでしょう。
また、脚を切断された個体でも、寿命や巣での生活に大きな悪影響は生じていませんでした。
だからこそ、仮に「無駄な切断」だったとしても、やっておく方が全体の生存率を上げられるのです。
今回の研究は、「予防的な切断」というシンプルながらも極めて合理的な生存戦略が、アフリカ産アリの間で発達していることを明らかにしました。
彼らの本能に埋め込まれた「迅速な決断」が、彼らの種を守ってきたのです。




























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アリの世界の外科医のレベルは少なくとも第一次大戦期の人類くらいはあるということですね。
大したものじゃないですか。
興味ぶかいです。妄想が広がります。
・切断した脚は、真菌や細菌が感染してるかもしれない不浄のブツですが、どのように処分されるんでしょうか。巣の近くや中に放置したくないものです。
・切断後も役割が変わらないとありますが、自然状態で、巣の中の内勤で脚を痛める事故は少ないでしょうから、餌探しや縄張り争いなどの消耗部隊がそのまま外勤に留まるのは、理にかなってそうにも見えます。
・視力に乏しいアリが、僚友の脚が木津突いているのを発見するにはケミカルな信号を得てするとすると、根元で切断して新しい傷口ができたにもかかわらず、攻撃がおさまるのはなんででしょう?
アリ飼ってると、たまに羽化不全で体が不自由な個体出てくる。
それが小さなコロニーの場合、巣の中で出来る仕事をやってて驚いた。障害を持つアリにも役割があるんだね。