泡を吐いて「浮く力」を弱めていた
観察されたように、マッコウクジラは、肺などにあるガスを泡として少しずつ外へ吐き出していました。
ガスが減れば、浮き輪から空気を抜いたときのように、浮く力も弱くなります。
つまり、マッコウクジラは、少し浮きそうになると泡を吐き、浮く力を弱めることで、海面の下にとどまっていたと考えられるのです。
チームは、クジラの体の重さ、水の抵抗、体内にあるガスの量などを使い、コンピューター上でも動きを再現しました。
体内のガスが少しずつ減るように設定すると、実際に観察されたマッコウクジラの動きに近くなりました。
反対に、体内のガスの量が変わらないように設定すると、コンピューター上のクジラは実際よりも速く海面へ浮かんでしまいました。
この結果から、泡を吐く行動は、マッコウクジラが浮力を調節するために役立っている可能性が強く示されたのです。

ただし、研究者たちはクジラの脳波を測ったわけではありません。
そのため、垂直姿勢のクジラが本当に深く眠っていたのか、泡を意識して吐いていたのかは、まだ分かっていません。
泡には、体の中にたまった二酸化炭素や窒素などを外へ出す役目もあるかもしれません。
私たち人間は、布団やベッドに体をあずけて眠ります。
しかし海の中には、体を支えてくれる床がありません。
そこでマッコウクジラは、泡を吐いて浮く力を細かく調節し、海面の下に自分だけの「寝床」を作っていたようです。
眠るクジラから静かに上がる泡は、巨大な体を海の中にとどめるための大切な仕組みなのかもしれません。






























