性的妄想でくしゃみが出る「有力な仮説」
通常のくしゃみは、ほこりや花粉などが鼻の粘膜を刺激することで起こります。
鼻で受け取られた刺激情報は、三叉(さんさ)神経を通って脳幹へ伝えられ、脳は胸や腹、喉などの筋肉をいっせいに動かします。
その結果、鼻や口から空気を勢いよく押し出す「くしゃみ」が起きます。
ところが、世の中には鼻への直接的な刺激がなくても、くしゃみが出る人がいます。
例えば、暗い場所から明るい場所へ出たときにくしゃみが出る「光くしゃみ反射」があります。
また、満腹になるとくしゃみが出る人も報告されています。
こうした奇妙なくしゃみは、複数の神経信号が互いに影響し合うことで起きている可能性があります。
研究者たちが「性的誘発性くしゃみ」の原因として注目したのが、心拍や消化、瞳孔、鼻水の分泌などを無意識に調節している「自律神経系」です。
性的なことを考えたり、性的に興奮したりすると、自律神経系の一部である副交感神経が働き、生殖器への血流や分泌反応を変化させます。
研究者たちは、このとき本来は生殖器へ向かうはずの神経活動が、鼻の分泌を調節する経路にも及んでしまうのではないかと考えました。
すると鼻の粘膜で分泌が起こり、それが刺激となって、くしゃみ反射が作動する可能性があります。
研究者たちは、このように一つの器官に向かう副交感神経の活動が、別の器官の反応まで引き起こす仕組みを「副交感神経性加重」と呼んでいます。
簡単に言えば、性的な妄想に反応した神経のスイッチを入れたところ、近くにある「鼻水やくしゃみのスイッチ」まで一緒に入ってしまうという説明です。
ただし、神経信号が実際にこのように伝わっている様子が科学的に観察されたわけではありません。
あくまで、既存の知識から組み立てられた仮説です。































