なぜメスばかりが狩られていたのか?

なぜメスだったのか。
いちばん素直な答えは「メスのほうが小さいから」です。
オスのマンモスは成体になるとメスよりひとまわり大きく、立ち向かう危険も相応に大きくなります。
けれども研究チームは、その説明に慎重です。
「狩る側が、成体のオスより小さいメスを狙ったと考えたくなりますが、実際はもっと複雑だったかもしれません。マンモスが現代のゾウのようにふるまっていたとすれば、メスと子どもの群れで暮らす個体は集団で身を守っていたかもしれず、群れとの遭遇は同じくらい、あるいはもっと危険だったことになります」と、筆頭著者のハンナ・M・ムーツ氏は述べています。
そこでチームがもう一つの説明として挙げるのは、群れの動きの読みやすさです。
メスと子どもの群れは、決まった季節に決まった道筋を通ります。
群れを離れたオスは、いつどこに現れるか分かりません。
バス停で待っていれば時刻表どおりに来るバスと、いつどの道を走っているか分からないタクシー。
待ち伏せするなら、狙うのは前者です。
子連れのメスは動きも遅く、近づきやすい相手でもありました。
もっとも、人類がメスを意識的に狙ったのか、待ち伏せをしていたら結果的にメスが多く獲れたのか、あるいは死んだ群れから肉や骨をもらい受けていたのかまではわかりません。
それでも今回の結果は、氷河期の人々がマンモスと出会うたびに行き当たりばったりで手を出していたのではなく、同じ相手を、同じやり方で、何度も利用していたことを示しています。
研究者たちは、骨から死んだときの年齢も読み取れば、マンモス塚のマンモスたちが母親と子どもの群れ(母系)だったのかを確かめられるだろうと述べています。


























