カエルは獲物に触れる前に気づいていた

では、この指先は実際の狩りでどう使われているのでしょうか。
研究チームは、1秒間に1000コマの高速カメラで、カエルが魚を捕らえる様子を記録しました。
撮影は、ふつうの明かりの下だけでなく、赤外線の照明の下でも行いました。さらに、水の動きを感じる感覚器「側線」をコバルトで働かないようにした条件でも撮影しました。
すると、カエルは獲物の魚が指に触れる前に、吸い込みの動作を始めていました。
これは、魚が起こす水の乱れを、約5mmという近い距離で感じ取っていることを示しています。
指先の神経の一部が水流にも反応したことと合わせると、指先の房は触れたものだけでなく、すぐそばの水の揺れまで拾っていると考えられます。
こうした結果から、研究チームは指先の房を「体性感覚(皮膚や筋肉などで感じる感覚)の中心窩(ちゅうしんか)」だと結論づけました。
中心窩とは、もともと目の網膜の中で、特に細かく物を見分けられる部分を指す言葉です。
指先の房は、いわば触覚にとっての中心窩にあたる、特別に作り込まれた感覚器というわけです。
研究チームは、モグラの一種であるホシバナモグラの「触覚の中心窩」によく似た器官だとしています。
コモリガエルは、目だけでなく指先でも獲物を「見て」いたのです。
「見る」と聞くと私たちはつい目のことだけを思い浮かべますが、生き物の中には、世界を指先でのぞき込んでいる者もいるのです。
もっとも人間の指先が暗闇で探し当てられるのは、せいぜいソファの隙間に落ちた小銭くらいのものですが。





















