チンパンジーは友だちのパイナップルを盗んだのか?

結論から言うと、チンパンジーは友だちからは食べ物を盗みにくいことが分かりました。
友だちでない相手とのペアでは試行の70%で盗みが起きたのに対し、友だちとのペアでは61%にとどまったのです。
差は9ポイントなので、小さく見えるかもしれません。
しかし同じチンパンジーが両方の場面を経験しているため、この差は偶然ではなく意味のあるものだと、より自信をもって言えるといいます。
筆頭著者でバークレー校の博士課程の学生、オデッド・リトフ氏は「友だちに対して反社会的な行動(相手に損をさせる行動)を控えられると示したのは、私たちの研究が初めてです」と話しています。
チームは、盗まれた側が足を踏み鳴らしたり、こぶしを打ちつけたり、金切り声を上げたりする様子から、気持ちの動きも測っていました。
すると、盗まれた側は相手が友だちのときのほうが、最初はむしろ強く怒っていました。
ところが試行を重ねるにつれて、友だちでない相手に盗まれたときよりも、その怒りがすばやくおさまっていったのです。
一方で、泥棒の側にも違いが見られました。
友だちでない相手から盗んだとき、泥棒役はマイナスの感情をずっと長く表していたのです。
研究チームは、泥棒が友だちでない相手とのやりとりを、より敵対的なものとして受け止めていたのではないかと見ています。
リトフ氏は「チンパンジーの友情には双方からの期待があるのかもしれず、人間の複雑な友情により近いように思えます」と述べています。
論文の著者の一人で、バークレー校のソーシャル・オリジンズ研究室を率いるヤン・エンゲルマン准教授は、人間の友情は特定の相手に向けた特別な意図だけでなく、より強い期待によっても成り立っていると指摘します。
「私たちは友だちに、より多くを期待するものです」と同氏は語り、今回の結果が友情の進化のルーツへの理解を深めるとしています。
友だちのものには手を出しにくく、友だちにやられても早く怒りをしずめられる心は、人間だけのものではないのかもしれません。
パイナップルをめぐる小さなかけひきの中に、私たちの友情のずっと古い姿がのぞいているようです。



















