低い声で「上がったもの」と「上がらなかったもの」

結果を見ると、強さに関わる印象と魅力とのあいだに、はっきりした違いが表れていました。
声の高さや響きを低くした動画の男性は、より力が強く、ケンカが強く、社会的に優位な人物だと評価されたのです。
論文の中で2人は「声の男らしさが増すにつれ、動画の男性は一貫して、より強く、ケンカが強く、影響力があるように見えた」と述べています。
また声を低くすると、男性の体重は重めに見積もられるようになりましたが、身長の見積もりには、はっきりした上昇は見られませんでした。
研究チームは、低い声から感じる強さの印象には、体重がどれくらいに見えるかが関わっているのかもしれないと考えています。
では、肝心の魅力はどうだったのでしょうか。
全体として見ると、声が男らしくなるほど、魅力の評価も上がってはいました。
しかしこれは、低い声が好まれたからではなく、声を高く女性的にした動画が好まれなかったことによるものでした。
つまり、高い声は男性の魅力を下げた一方で、体が見えている状態では、声を低くしても魅力が上乗せされることはなかったのです。
ただし、声は印象を決める材料のほんの一部にすぎませんでした。
音を消した動画と比べたところ、どの評価でも、声の変化より目に見える情報のほうがはるかに大きな影響を与えていたのです。
それでも、声だけを聞かせた過去の研究で得られた結果の多くは、体が見える状態でも同じように確かめられました。一方で、低い声で魅力が上がるという点は、過去の研究とは異なる結果になりました。
研究チームは今回の結果について、低い声は女性を引きつけるためというより、ライバルを威圧するために進化したという考えを支持するものだとまとめています。
声変わりで手に入る低い声は、恋のアピールというより、「強そうに見せる」ための道具だったのかもしれません。
低い声でささやく練習を始める前に、まずは鏡の前で背筋をのばしてみるほうが、ずっと手軽な一歩になりそうです。




















