脳を食べるアメーバが感染する仕組みが見えてきた――『狭い隙間』が大好き
脳を食べるアメーバが感染する仕組みが見えてきた――『狭い隙間』が大好き / Credit:Naegleria amoebae seek confinement and crawl persistently through narrow spaces
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脳を食べるアメーバが感染する仕組みが見えてきた――『狭い隙間』が大好き

2026.10.03 18:00:53 Saturday

アメリカのマサチューセッツ大学ダートマス校(UMassD)などで行われた研究によって、「脳を食べるアメーバ」の仲間が、細い通路を見つけると自分から潜り込み、いったん入るとほとんど引き返さずに突き進むことが明らかになりました。

ふつうに考えれば、体を押しつぶされるほど狭い道は、細胞にとって動きにくい場所です。

ところがこのアメーバは入り口を探って中へ入り、幅によっては、外を這うときの2倍近い速さで通路を進みました。

通路の奥から餌のにおいで誘ったわけでも、水の流れで押し込んだわけでもありません。

研究者は「まるでロボットのようです。ひたすら進んで、進んで、進み続けるのです」と述べています。

しかし狭い場所が好きというだけの性質が、どうして脳までの道のりを助けてしまうのでしょうか。

研究内容の詳細は2026年9月10日に『Proceedings of the National Academy of Sciences』にて発表されました。

Naegleria amoebae seek confinement and crawl persistently through narrow spaces https://doi.org/10.1073/pnas.2534165123

脳までの道は、体がつぶれるほど狭い

脳までの道は、体がつぶれるほど狭い
脳までの道は、体がつぶれるほど狭い / Credit:Naegleria amoebae seek confinement and crawl persistently through narrow spaces

夏の湖や川で泳いでいて、鼻に水が入ってツンとした経験は誰にでもあります。

ごくまれに、その水の中に厄介なものが混じっていることがあります。

「脳を食べるアメーバ」と呼ばれるネグレリア・フォーレリです。

ふだんは温かい淡水の底を這い回り、泥の中の細菌を食べて暮らしている、ただの単細胞生物です。

ところが鼻の奥まで入り込むと、話が変わります。

鼻の奥には、においを感じ取って脳へ伝える神経の束が集まっています。

アメーバはこの束に沿って這い上がり、鼻の奥と脳を仕切る骨(篩板)にあいた小さな穴をくぐって、脳にたどり着きます。

そこで組織を食べながら増え、原発性アメーバ性髄膜脳炎という感染症を引き起こします。

論文によれば致死率はおよそ95%で、患者の多くは子どもです。

ただし、このアメーバは人間の脳を狙って生きているわけではありません。

「私たちは、このアメーバのライフサイクル(生活環)の一部ではないのです」と、筆頭著者でマサチューセッツ大学ダートマス校の細胞生物学者カトリーナ・ヴェル氏は話しています。

ですが人間を狙って進化したわけでもないのに、なぜこのアメーバは小さな体で、鼻の奥から脳までの細く入り組んだ道のりを進み切ることができるのでしょうか?

においの神経はぎっしりと束になっていて、そのあいだに残された隙間はごくわずかです。

骨にあいた穴も、その先の脳の組織も同じです。

どの道をたどるにしても、脳にたどり着くには、この狭さを通り抜けるしかありません。

そこで研究者たちは、ネグレリアの仲間が体のつぶれるほど狭い隙間に置かれたとき、どう動くのかを確かめることにしました。

このアメーバは、狭い場所に出くわしたとき、避けて通るのでしょうか、それとも入っていくのでしょうか?

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