採掘候補の海底のウイルス、既存のデータベースに載っていたのはどれだけ?

解析の結果、この海底には非常に多様なウイルスがひしめいていることが分かりました。
似たウイルスどうしをまとめたグループ(ウイルスクラスター)で数えると、その99%以上が、現在の参照データベースに登録されていないものだったのです。
たとえるなら、100の顔ぶれを図鑑で引いても、載っているのは1つにも満たないという状況です。
深海の泥の中には、これまでの記録にほとんど無いウイルスの世界が広がっていたと言えるでしょう。
では、これほど見知らぬウイルスたちは、海底で何をしているのでしょうか。
研究チームがウイルスと宿主(ウイルスが取りつく相手の生物)の組み合わせを推定したところ、ウイルスの感染先は幅広い系統の原核生物に及んでいると考えられました。
その中には、炭素、窒素、リン、硫黄、そして金属の循環に関わる微生物が含まれていると見られます。
つまりウイルスは、海底で物質の巡りを担う微生物たちに取りついている可能性があるのです。
さらにウイルスたちは、「補助代謝遺伝子」と呼ばれる遺伝子も持っていました。
補助代謝遺伝子とは、宿主となる微生物の代謝、つまり栄養やエネルギーのやりくりに関わる遺伝子のことです。
研究チームは、ウイルスが重要な働きを持つ微生物に感染し、こうした遺伝子を備えていることで、感染中の宿主の代謝や生き残りを調整している可能性があると考えています。
その影響は、ノジュールが広がる海底の堆積物で起きる元素の循環にまで関わってくるかもしれません。
加えて、遺伝子のやり取りを調べた解析からは、ウイルスが宿主の微生物を金属によるストレスに適応させる手助けをしている可能性も示されました。
金属の多い海底で微生物が暮らしていけるのは、ウイルスとのやり取りも一因なのかもしれません。






















