深海で採取された岩が実験室の中で自然発火した
深海で採取された岩が実験室の中で自然発火した / Credit: USGS
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深海で採取された岩が実験室の中で自然発火した (2/4)

2026.10.14 11:00:17 Wednesday

前ページ深海に眠る燃える石

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57個のうち燃えたのは2個、石油のせいでもなかった

57個のうち燃えたのは2個、石油のせいでもなかった
57個のうち燃えたのは2個、石油のせいでもなかった / 2022年のエスカナバ・トラフ調査で回収された、熱水噴出孔の煙突状構造の断面。幅は約18センチで、鉄と硫黄の鉱物である磁硫鉄鉱を含んでいます。Credit: NOAA Ocean Exploration

同じ場所で採り、同じ手順で乾かして砕いた石は、どれも同じようにふるまったのか?

アメリカ地質調査所のエイミー・ガートマン氏らの研究チームの手元には、2022年の調査航海で無人探査機ジェイソンが集めた、エスカナバ・トラフ4地域の岩石57個がありました。

試料は凍らせたまま水分を抜く凍結乾燥にかけられ、そのあと分析のために粉にされます。

57個のうち、金属硫化物を主成分としていたのは41個。

その41個のなかで、手で割った段階で熱と煙を上げたのは2個だけでした。

残りは、同じ手順で同じように砕かれても、何も起こしませんでした。

燃えた2個の主成分は、白鉄鉱(マーカサイト)という硫化鉄の鉱物でした。

燃えたあとの石を調べると、中身は、鉄が酸素と結びついた物質(マグヘマイト)に変わっていました。

表面が焦げたのではありません。

石の中の硫黄が燃えて気体となって抜け、あとに残った鉄が酸素と結びついていたのです。

ただ、この海域には、ほかにも燃えうるものがありました。

石油です。

エスカナバ・トラフは、陸から流れ込んだ厚い堆積物に埋もれた熱水地帯です。

堆積物が熱水に温められると、石油が作られます。

それが金属硫化物の鉱物にまぎれこむことは、この海域では以前から知られていました。

石油もまた、自分で熱を出して燃える物質です。

しかし、燃えた2個に含まれる有機物由来の炭素の量は、燃えなかった石と変わりませんでした。

試料を少しずつ温めながら重さの変化を測る試験でも、自分から熱を出したのは、燃えた2個から取り分けた試料だけでした。

有機炭素を3倍以上多く含む堆積物を同じように温めても、自分から熱を出す反応は現れませんでした。

さらに、試料が自分から熱を出したときに減った重さは、含まれていた有機炭素の量を、最大で10倍も上回っていました。

まぎれこんだ油をすべて燃やしたとしても、まるで足りない量です。

燃えていたのは、石そのものでした。

しかも白鉄鉱は、燃える危険のある鉱物として名前が挙がることの少ない鉱物です。

その白鉄鉱が、なぜ割っただけで燃え出すほど不安定になっていたのでしょうか。

次ページ中身はカイロの鉄粉より細かい粒に変わっていた

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