認知症でも、脳は「好きな音楽」に反応する
認知症でも、脳は「好きな音楽」に反応する / Credit:Canva
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認知症でも、脳は「好きな音楽」に反応する (2/3)

2026.10.15 11:00:23 Thursday

前ページ「認知症に音楽はいい」は、ひとくくりにしすぎていた

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アルツハイマー病では働き、前頭側頭型認知症では働かなかった脳の一か所

アルツハイマー病では働き、前頭側頭型認知症では働かなかった脳の一か所
アルツハイマー病では働き、前頭側頭型認知症では働かなかった脳の一か所 / 音楽を聴いたときの脳反応。上から比較群、アルツハイマー病群、前頭側頭型認知症群です。右の列は、好きな曲の方が聞き慣れない曲より強い反応を示した場所。反応の現れ方には、グループによる違いが見られました。Credit: Jochum J. van ’t Hooft et al., Brain Communications (2026), CC BY 4.0(図2より抜粋)

好きな曲が流れているとき、脳のどこが反応し、どこに差が出るのか?

答えを探すために、研究チームはまず、参加者一人ひとりに自分の好きな曲を選んでもらいました。

そこからサビなど、いちばんその曲らしい10秒を切り出します。

比べるために流したのは、研究者が選んだ聞き慣れない曲と、何も流さない静かな時間です。

聞き慣れない曲は、穏やかで曲調の変化が少ない1曲を全員に共通で使いました。

歌声の有無は本人の好きな曲に合わせ、音量も同じにそろえてあります。

参加したのは、アルツハイマー病の人、前頭側頭型認知症の人、そしてもの忘れが気になって受診したものの、検査では認知機能に問題のなかった人の、合わせて60人です。

認知症の参加者は、軽度から中等度の人たちでした。

脳の様子は、機能的MRIという方法で調べました。

曲を聴いているあいだに働きが強まった場所が、明かりのように浮かび上がる撮り方です。

装置の大きな音が曲の邪魔をしないよう、撮影をいったん止め、その合間に曲を流す工夫もしています。

参加者は歌うわけでも踊るわけでもなく、ただ横になって聴くだけ。

好きな曲、聞き慣れない曲、静かな時間が代わる代わる流れて、全部で13分ほどの実験でした。

すると、3つのグループのどれでも、好きな曲のほうが強い反応を引き起こしました。

認知症があっても、脳にとって2種類の音楽は「どちらも同じ音」ではなかったのです。

ただし、明かりのともり方は同じではありませんでした。

アルツハイマー病のグループでも、検査で問題のなかったグループと同じく広い範囲が反応していました。

一方で、前頭側頭型認知症のグループでは、反応した範囲が全体として狭めでした。

そして、はっきり差が出た場所があります。

補足運動野です。

画像
白い丸で示した補足運動野では、好きな曲と聞き慣れない曲の反応差が、アルツハイマー病群で前頭側頭型認知症群より大きくなっていました。Credit: Jochum J. van ’t Hooft et al., Brain Communications (2026), CC BY 4.0(図3Cより抜粋)

好きな曲と聞き慣れない曲の反応の差を3グループで見比べると、ほかの2グループではこの場所に明かりがともり、前頭側頭型認知症のグループではともりませんでした。

音を受け取る場所などは、このグループでもちゃんと反応していました。

ほかの2グループより反応が弱かったのは、「運動」と名のつくこの一か所だけです。

体を動かす実験ではないのに、なぜ「運動」と名のつく場所で差が出たのでしょうか?

次ページ脳の反応は弱くても、音楽が好きだという答えは変わらなかった

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