子どもの「頭の中の言葉」の発達は、1から5まで数えることで測れる可能性―心の中で数字を数えられるのはいつごろ?
子どもの「頭の中の言葉」の発達は、1から5まで数えることで測れる可能性―心の中で数字を数えられるのはいつごろ? / Credit:大谷康太 . ナゾロジー編集部編
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子どもの「頭の中の言葉」の発達は、1から5まで数えることで測れる可能性―心の中で数字を数えられるのはいつごろ? (4/4)

2026.10.16 19:00:53 Friday

前ページ数を数えることで子どもの内言が捉えられる

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頭の中でしゃべれる子でも、「しゃべれない」と答えているかもしれない

この研究では、数える課題とは別に、参加した子どものうち29人に、先行研究で用いられた内言についての質問もしていました[8]。

「人はアイスクリームを食べられるかな?」「一日中片足で立っていられるかな?」といった「できる・できない」のクイズに混ぜて、「人は唇を動かさずに、頭の中でお話を作って話すことはできるかな?」などの質問をしたのです。

大人25人の92%が「できる」と答えたこの質問に、「できる」と答えた子どもは41%にとどまりました。

「人は頭の中で自分に話しかけたりできるかな?」「声に出して話しながら、同時に考えられるかな?」といった他の質問でも、子どもの答えは、あてずっぽうで答えたときと統計的に区別がつきませんでした。

さらに、質問への答えと数える課題の成績のあいだには、関係がありませんでした。

つまり、頭の中だけで安定して数えられる子が、「頭の中で話せる」と答えるとは限らない可能性があるのです。

頭の中の言葉を実際に使えることと、使えると自覚して説明できることは、同時に育つわけではないようです。

「頭の中でお話しできる?」と聞かれて「ううん」と答えた子も、実は頭の中でしっかりしゃべっていたのかもしれません。

このことから、幼児の心の中で起きていることを知るには、質問やインタビューだけに頼らず、今回のような客観的な測り方を組み合わせることが重要だと考えられます。

ただし、今回捉えたのは、「頭の中で数えてください」と求められたときに生じる内言です。

日常の中でひとりでに湧いてくる心の声が、いつ生まれるのか。

この問いは、まだ開いたままです。

初めて頭の中だけで発した言葉には、誰も立ち会うことができません。

しかし、その瞬間そのものを知ることはできなくても、1から5まで数える数秒間の小さな「ばらつき」の中に、頭の中の言葉が発達していく過程を探る手がかりが残されているのかもしれません。

引用文献

[1]Alderson-Day, B., & Fernyhough, C. (2015). Inner speech: Development, cognitive functions, phenomenology, and neurobiology. Psychological Bulletin, 141(5), 931–965. https://doi.org/10.1037/bul0000021
[2]Vygotsky, L. S. (1987). Thinking and speech. In R. W. Rieber & A. S. Carton (Eds.), The collected works of L. S. Vygotsky: Vol. 1. Problems of general psychology (N. Minick, Trans., pp. 39–285). Plenum Press. (Original work published 1934)
[3]Wallace, G. L., Peng, C. S., & Williams, D. (2017). Interfering with inner speech selectively disrupts problem solving and is linked with real-world executive functioning. Journal of Speech, Language, and Hearing Research, 60(12), 3456–3460. https://doi.org/10.1044/2017_JSLHR-S-16-0376
[4]Nedergaard, J. S. K., & Lupyan, G. (2024). Not everybody has an inner voice: Behavioral consequences of anendophasia. Psychological Science, 35(7), 780–797. https://doi.org/10.1177/09567976241243004
[5]Karlin, R., Naber, C., & Parrell, B. (2021). Auditory feedback is used for adaptation and compensation in speech timing. Journal of Speech, Language, and Hearing Research, 64(9), 3361–3381. https://doi.org/10.1044/2021_JSLHR-21-00021
[6]Henry, L. A., Messer, D., Luger-Klein, S., & Crane, L. (2012). Phonological, visual, and semantic coding strategies and children’s short-term picture memory span. The Quarterly Journal of Experimental Psychology, 65(10), 2033–2053. https://doi.org/10.1080/17470218.2012.672997
[7]Jarrold, C., & Citroën, R. (2013). Reevaluating key evidence for the development of rehearsal: Phonological similarity effects in children are subject to proportional scaling artifacts. Developmental Psychology, 49(5), 837–847. https://doi.org/10.1037/a0028771
[8]Flavell, J. H., Green, F. L., Flavell, E. R., & Grossman, J. B. (1997). The development of children’s knowledge about inner speech. Child Development, 68(1), 39–47. https://doi.org/10.1111/j.1467-8624.1997.tb01923.x

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