
・腸内細菌を含む約100種類もの細菌が発電する性質をもつことが判明
・腸内細菌のリステア・モノサイトゲネスが電子を放出している
・約100種類もの細菌が同様の発電を行うことが判明
もしかして人間もピカチュウのように10万ボルトを放てる日が…?
カリフォルニア大学の研究チームは、腸内細菌が電気を新しい方法で発生する性質があることを発見しました。さらに、約100種類の細菌も同様の性質を持つことも判明。研究結果は9月12日付けで“Nature”に発表されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0498-z
細菌が電気を発生させるのは、代謝で生成された電子を除去したりエネルギーの生成を補助するためです。これまでの研究から、細胞壁が二つあるグラム陰性菌に属するシェワネラ菌が電気を生成する性質があると知られていました。
研究では、腸内細菌のリステア・モノサイトゲネスを用いて電流を計測する実験を行いました。この細菌はリステア症と呼ばれる食中毒を引き起こす病原性細菌です。
実験の結果、細胞一つあたり一秒間に10万もの電子を放出していることが判明。これは、これまで観測された発電細菌と同程度の電子放出量です。

また、リステア・モノサイトゲネスは今までにない新しい発電システムを用いていることも判明しました。これまで発見されたプロセスよりもシンプルで、酸素レベルが低い場合にのみ必要に応じてシステムが働くと考えられています。
この新しい発電システムは、リステア・モノサイトゲネスのある特徴が貢献しています。それは、細胞壁が二つあるグラム陰性菌ではなく、細胞壁が一つしかないグラム陽性菌だということ。細胞壁が少ないことで、電子を細胞の外に放出する際にエネルギーが少なくて済むのです。
また、グラム陽性菌は、ビタミンB2の一種であるフラビンを多く含む環境で生息することも考慮されます。つまり、細胞壁が一つという構造とビタミンが豊富な環境を必要とするグラム陽性菌は、コストパフォーマンスの高い発電を簡単に行うことができます。
さらに、この新しい発電システムを行う細菌を調査したところ、レンサ球菌や乳酸菌のラクトバチルスなど約100種類もの細菌も、同様の発電を行うことが発見されています。
このような発電する細菌自体は湖の底などにも存在しており、特に珍しいものではありません。しかし、私たちの体内に存在するとは驚くべきことです。今回の研究から、細菌からバッテリーを作るバイオテクノロジー分野の発展につながることが期待されます。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/18114
via: ScienceDaily / translated & text by ヨッシー