得点の高い人ほど多かった「3つの行動」とは?

2人は、一人ひとりに振られた番号を使い、テストの得点を別の公的な記録とつなぎ合わせました。
調べた行動は3つです。
1つ目は寄付で、2012〜2015年の税の記録から、慈善団体にお金を出したかを確かめました。
スウェーデンでは慈善団体が寄付を自動で税務当局に報告するため、お金の知識や、申告書を書く手間をいとうかどうかによる偏りが小さく抑えられます。
2つ目は投票で、2009年の欧州議会選挙で実際に投票したかの記録を使いました。
投票は、お金ではなく時間を差し出す行動です。
3つ目は、電気・エタノール・天然ガスで走る「エコカー」を、家で持っているかどうかです。
エコカーは、ふつうの車より値が張りがちな一方で、出す汚染物質が少ない車です。
そのため、自腹を切ってみんなの環境に貢献する行動と見なせるのです。

結果を測った時点で、男性たちは平均して40代後半から50代前半でした。
調べてみると、3つの行動のどれでも、テストの得点が高い人ほどよく行っていました。
中でも差がはっきりしていたのは寄付です。
得点が最も高い男性は、最も低い男性に比べて、寄付をしている確率が5倍を超えていました。
もう少し細かく、9段階の評価でおよそ2段階分の得点差に注目してみます。
この得点差には、寄付をする確率が40%高いという違いが結びついていました。
寄付する人が10人いる集団なら、それが14人に増えるくらいの違いです。
同じ得点差で、投票する確率は31%、エコカーを持つ確率は14%高くなっていました。

入隊検査を受けた女性約3,000人でも、3つの行動に同じような傾向が見られ、男性だけの話ではなさそうです。
では、テストの中でも、どの分野の得点がとくに行動と強く結びついていたのでしょうか。
4つの分野はどれも3つの行動と強く結びついていましたが、特に強かったのは論理と言葉の分野でした。
この2つは、抽象的に考え、初めての問題を解く力(流動性知能)を最もよく測る分野とされています。
ここで気になるのが、「やる気のない若者は得点が低く、社会への関心も薄いだけでは」という疑問です。
実際、得点に見返りのないテストでは、やる気の低い人ほど得点が下がりやすいことが先行研究で示されています。
しかしこのテストには配属という見返りがありました。

2人がデータで確かめても、やる気の差による偏りの気配は見られませんでした。
つまり、得点の高い人ほど、お金や時間を差し出す社会のための行動を、実際によく行っていたのです。




