始まりは、捨てる寸前の失敗した実験だった
この研究のきっかけは、ある失敗した実験でした。
中国の西北農林科技大学の生物学者ユージョウ・チャン(Yuzhou Zhang)氏は、オーストリアの研究室にいました。
そこで取り組んでいたのは、植物が重力に応じて動くしくみの研究です。
実験では、寒天(かんてん)を固めた平たい皿の上で植物を育てていました。

ところがある日、その皿の1枚に空気中の微生物が入りこみ、汚れてしまいます。
チャン氏はその皿を捨てようとしました。
その直前、彼はある奇妙なことに気づきます。
皿の中の植物の根が、ほぼ1本残らず、汚れた部分から遠ざかる向きに曲がっていたのです。
チャン氏は「そのそろい方を見て、これは偶然の反応以上のものではないかとすぐに思った」と振り返っています。
もし根が本当に腐った物を見分けて避けているなら、植物にはまだ知られていない動き方があることになります。
こうしてチャン氏らのチームは、この偶然の観察を本格的な実験で確かめることにしました。




