1500℃でも溶けない「第3の熱い氷」を発見
1500℃でも溶けない「第3の熱い氷」を発見 / ふだん目にする、冷たい氷の結晶を間近に写した写真です。 Credit: Photo by Federica Flessati on Pexels(Pexels のライセンス)
physics

1500℃でも溶けない「第3の熱い氷」を発見

2026.10.22 18:00:00 Thursday

暑い日に冷たいジュースを頼むと、グラスの中で氷がカランと涼しい音を立てます。

私たちにとって氷とは、水を冷やして固めた冷たいものです。

ところが、天王星や海王星の奥深くには、熱いのに固体のままの氷があるかもしれないと考えられています。

フランスの研究チームは、ほんのわずかな水を熱しながら極限まで押しつぶし、そうした氷を実験室で作ろうと試みました。

そこに現れた氷の結晶は、いったいどんな姿をしていたのでしょうか。

研究の詳細は、フランス原子力・代替エネルギー庁らにより、2026年7月17日付で学術誌『Physical Review Letters』に掲載されました。

New type of superionic water ice observed for the first time (Physics World) https://physicsworld.com/a/new-type-of-superionic-water-ice-observed-for-the-first-time/ Structure and properties of two superionic ice phases(カーネギー研究所、2021) https://carnegiescience.edu/structure-and-properties-two-superionic-ice-phases
Observation of Hexagonal Close-Packed Water Ice at Conditions in Ice Giant Planetary Interiors https://doi.org/10.1103/sdrk-3m4t

熱くても溶けない「超イオン氷」とは

水を数十万から数百万気圧という強さで押しつぶすと、熱くても溶けない特別な氷ができると考えられています。

その氷が現れるのは、およそ700〜1700℃を超える高温の世界です。

この氷の中では、酸素の原子が規則正しく並び、固体の骨組みを作っています。

理論では、その骨組みのすき間を、水素の原子核(陽子)が液体のように動き回ると予想されています。

超イオン氷の中で考えられているようすを表したイメージ図です。きちんと並んだ大きな玉(酸素)は動かず、そのすき間を小さな陽子が液体のように動き回るとされています。
超イオン氷の中で考えられているようすを表したイメージ図です。きちんと並んだ大きな玉(酸素)は動かず、そのすき間を小さな陽子が液体のように動き回るとされています。Credit: ナゾロジー編集部(生成 AI で作成)(生成 AI で作成したイメージ図)

1つの物質の中で、固体と液体が同居しているような状態です。

これが「超イオン氷」と呼ばれる氷です。

電気を帯びた陽子が自由に動くため、超イオン氷は金属に近いほどよく電気を通すと見積もられています。

しかも、この氷は溶ける温度もきわめて高く、酸素の骨組みがぎっしり詰まった並び方の新しい構造が現れるなかで、数千度にも達するといいます。

この不思議な氷は、天王星と海王星の謎とも関わっています。

2つの惑星の磁場は地球とは違い、自転軸に対して傾き、中心からもずれているのです。

地球の磁場は、惑星の中心にある核で、溶けた鉄が動くことで生まれます。

一方で天王星と海王星については、磁場を生む外側の薄い層の内側に、電気は通すのに対流しない層があると考えると、風変わりな磁場をうまく説明できるという仮説があります。

その内側の層を作っているのが、水だけでなくアンモニアやメタンも混ざった、熱く密度の高い超イオン氷ではないかと考えられています。

つまり、超イオン氷の中身を知ることは、遠い惑星の内部を知ることにつながるのです。

次ページ200万気圧の熱い水の中に現れた氷の正体とは?

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

物理学のニュースphysics news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!