新しい氷は天王星や海王星の奥に眠っているのか今回の発見は、天王星と海王星 の内部を考えるための手がかりになるかもしれません。
フォレスティエ氏は、新しい氷の力学的な性質や電気の通しやすさを、惑星 内部のモデルに組み込む根拠ができたと話しています。
同氏によれば、この氷は面心立方の氷と同居でき、約150万〜200万気圧より高い圧力では、より安定になります。
そのため同氏は、この氷が氷の惑星の内側の層のうち、より深い所におそらくあるだろうと見ています。
また研究チームは、新しい氷は向きによって性質に偏りがあるため、面心立方の氷より電気を通しにくいはずだと考えています。
そのぶん、惑星の磁場のモデルで考えられている「電気を通しにくい固体の内核」の候補として、より有力になるといいます。
探査機ボイジャー2号が1986年に撮った天王星です。この惑星の内側の層の深い所に、新しい氷があるかもしれないと考えられています。 Credit: NASA/JPL-Caltech / Wikimedia Commons (Public domain)
ただし、分かっていないことも残っています。
今回、超イオンの状態に入ったと判断した根拠は、温めたときの膨らみ方の異常でした。
ヴェック氏は、膨らみ方以外にも、超イオンの性質をもっと直接示す証拠を得たいと語っています。
その候補が、物質の中を伝わる音の速さを、光を使って調べる方法(ブリルアン分光)です。
音の速さに異常が見つかれば、陽子が動き回っている証拠を強められると同氏は話します。
研究チームは今後、それぞれの氷が安定していられる圧力と温度の範囲を、正確に見きわめる計画です。
水の分子の形が残っている状態と、超イオンの状態などとの境目を描き出し、新しい氷が溶ける様子も調べるといいます。
それらが、こうした氷が本当に天王星や海王星の中で安定して存在するのかを確かめる助けになるのです。
コップの氷と同じ水が、遠い惑星の奥では、灼熱の中で酸素の骨組みを保ったまま、水素だけを流しているのかもしれません。
喫茶店で「氷は熱々でお願いします」と頼んでも、店員さんを困らせるだけなので、ご注意ください。
ここからは、超イオン伝導体をもっと知りたい人へ
超イオン氷とは、とても高い圧力と熱の中でできる、水素だけが動き回る氷です 1958年に作られた最初のダイヤモンドアンビルセルで、NISTのゲイザースバーグの博物館に展示されています。今回の実験に使われた装置ではありませんが、2つのダイヤモンドの先端で試料をはさむ、同じ種類の装置の始まりにあたる1台です。 Credit: Gasper J. Piermarini / Wikimedia Commons (Public domain) この氷は、実験で確かめられるより前に、理論の計算で存在が予想されていました。
その予想を確かめようと、別の研究では、レーザーで熱したダイヤモンド アンビルセルの中で水を調べました。
すると水は、酸素が体心立方に並ぶ氷と、面心立方に並ぶ氷へ、それぞれの境目で一気に切り替わりました。
この研究チームが、見つけた氷を超イオン氷だと判断した手がかりは3つありました。
1つ目は密度がほかの氷と違っていたことで、2つ目は光を使って測った電気の通しやすさが高まっていたことです。
そして3つ目は、溶けるときに吸い込む熱が大きく減っていたことでした。
この研究は、海王星や天王星のように水の多い巨大な惑星の中に、面心立方の超イオン氷がありそうだとも述べています。
【よくある疑問】
Q. 超イオン氷が溶ける温度は、はっきり分かっているのですか? A. 超イオン氷が本当にあるのかも、どの温度で溶けるのかも、理論と実験のどちらでも見きわめにくく、調べ方やデータの読み方によって食い違う結果が出てきました。そのなかで、レーザーで熱しながら押しつぶした水を調べた研究は、溶ける温度の境目が、それまでの押しつぶしたまま調べる実験より高い温度にあると報告しています。この結果は、理論の計算や、衝撃波を使った実験のデータとは合っていました。
写真で見る天王星と海王星
ボイジャー2号のカメラが、緑とオレンジのフィルターを通して撮った最後の全体像から作られた、色を強めた海王星の画像です。海王星の磁場も、地球とは違って自転軸に対して傾き、中心からずれています。 Credit: NASA / Wikimedia Commons (Public domain)
ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた天王星で、まわりに4本の主な環と、知られていた17個の衛星のうち10個が写っています。天王星の風変わりな磁場は、内側に電気は通すのに対流しない層があると考えると、うまく説明できるという仮説があります。 Credit: NASA/JPL/STScI (Public domain(NASA) )
この研究の概要
発表
2026年7月に、物理学の専門誌『フィジカル・レビュー・レターズ』に掲載されました。
研究チーム
フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)のアレクシス・フォレスティエ氏とグンナー・ヴェック氏が率いるチームで、ソルボンヌ大学や欧州放射光施設の研究者も加わっています。
調べた対象
不純物をほぼ取り除いた水(超純水)の、直径12μmほどの小さな試料です。
調べ方
ダイヤモンドの先端で試料をはさむ装置に、熱をよく伝えるダイヤモンドのカップ形円盤を2枚加え、レーザーでむらなく熱しながら約79万〜226万気圧、約27〜2360℃の範囲で押しつぶしました。
調べ方
そのうえで、欧州放射光施設の細いX線ビームを当て、X線回折で氷の結晶の並び方を調べました。
分かったこと
約200万気圧・約1530℃を超えると、酸素がすき間なく積み重なった六方最密充填という並び方の超イオン氷が主役になりました。
分かったこと
これで、実験で確かめられた超イオン氷は3種類になりました。
まだ分かっていないこと
それぞれの氷が安定していられる圧力と温度の範囲や、新しい氷が溶ける様子は、これから調べる段階です。
まだ分かっていないこと
超イオンの状態に入ったことを、温めたときの膨らみ方より直接に示す証拠も、まだ得られていません。
酸素で作ったダイアモンドって感じですか?
ほかの元素も強引に押しつぶせば同じような形態にできるのかしら。
水は形態変化凄いからまだ何か新しい形態を隠してそうな気がする。