まず最初に、下の写真の左側の脳細胞をご覧ください。それから右の、宇宙を形成する銀河同士のネットワークである「コズミックウェブ」の写真を見てみてましょう。
the first picture is a human brain cell. The second picture is the cosmic web of all the galaxies in our universe. Goodnight pic.twitter.com/7eEjTPT0Ej
— Lyz (@lyzaaddington) May 23, 2018
お分かりいただけたでしょうか?
見比べるとわかるように、この2つは非常に似ています。私たちが住んでいる宇宙が「巨大な身体の脳かもしれない」というのは、誰かしら思いつくことです。
実は、コズミックウェブと脳細胞がこれほど似ていることには、別の理由があります。それは、物理の法則がどこでも同じように適応されるということです。
科学者たちはこれまで、宇宙で物質とエネルギーがどのように働くかを調べることによって物理法則を学んできました。
小さな原子から巨大な銀河に至るまで、宇宙の全ては物理法則に従っています。しかし、全てが同じ法則に従っているからといって、すべてが同じということにはなりません。
コズミックウェブのような形は見えないダークマターによる重力によって作られ、超新星爆発と呼ばれる星の爆発のような強力なイベントで変化します。
しかし私たちの脳は、大きな宇宙イベントによって出来ているわけではありません。脳の形は何十億年にも渡る進化によって作られたものです。
生物の進化は、各世代が持つ特徴や行動がその環境を生き抜くのに役立つ場合、その子孫へ受け継がれることで起こります。脳が今の形になったのは、この並びによって情報を脳のある部分から他の部分に早く伝えることができるからです。
また、私たちが今のように速く反応できるのは、私たちの先祖が当時の環境で非常に速く反応するために脳を使う必要があったからでしょう。
とはいえ、私たちの脳も宇宙の他の部分と同じ原子や分子で出来ています。脳や宇宙の形は、数学の一分野である「フラクタル」と関係しています。
フラクタルではそれ自身のパターンを様々なスケールで繰り返します。多くの物理学がフラクタルのような過程に依存しているので、自然界にはフラクタルに従うものが多く存在します。海に流れ込む川のパターンや、雪の結晶などがその例です。
都市のつくりもフラクタルに従っています。宇宙から見た世界の夜景にも、似たようなパターンを見いだせるのです。宇宙も脳も、完全にフラクタルに従っているわけではありませんが、近いところにあるのです。
また、写真上の宇宙と脳がこれほど似ている理由はもう一つあります。宇宙はとても大きく、脳細胞はとても小さいので、肉眼ではどちらも見ることが出来ません。
そのため、科学者たちはそれらがどのように見え、働くのかを示すためにコンピューターモデルを使うことがよくあります。
コンピューターモデルは、研究したいものの小型版みたいなものです。とても小さな脳細胞や巨大な宇宙構造を見ようとする代わりに、それらがモデルの中でどのように振る舞うかを見るという方法があるのです。
脳を研究する科学者達は、宇宙を研究する科学者たちと全く異なる問題を解こうとしていますが、使われているコンピューターブログラムはかなり似ています。
したがって、コンピューターモデルを使って画像を作った時に、それらが実際には全くの別物であるにもかかわらず、似たようなものになることがあるのです。
例えば、両方の画像で、明るい点が大きな銀河のグループや脳細胞のような活発な活動を示し、黒い点が何もない部分を表すかもしれません。それによって、2つの全然違った事柄が、実際よりもつながって見えるようになることが時々あるのです。
コンピュータモデルに関しては少し夢のない話になりましたが、フラクタルの他にも、万物は共通のデザインから形作られるとするコンストラクタル法則など、世界には共通の形があるとする法則が多くあります。それらが解明されたときは、この世の全ての「謎」が紐解かれた時なのかもしれません。
via: The Conversation/ translated & text by SENPAI