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家庭の本棚にある「本の数」で子どもの能力が左右されるという研究

2018.10.13 Saturday

Credit: Alamy
Point
思春期に家に本がたくさんある環境で育った人は、読み書き、計算、ICTのスキルがすべて高いことが分かった
・高等教育を受けていなくてもたくさんの本に囲まれた環境で育った人は、家にほとんど本がない環境で育った大学生と読み書き、計算、ICTのスキルが同じだった
・人生の早い段階で多くの本に親しむことは、生涯にわたって認知能力を強化する習慣の一つであり、親の躾、学校教育、仕事以上の影響を持つ

子どもの頃、実家の本棚にある両親の本をよく読んでいたという方は多いのではないでしょうか?難しそうなタイトルの背表紙に、中にはたくさんの知らない漢字…。意味はよくわからなくても、未知の世界に胸を踊らせるものです。

オーストラリア国立大学の研究で、思春期に家に本がたくさんある環境で育った人は、読み書きだけでなく、計算やICT(情報通信技術)にも強くなることが明らかになりました。研究結果は、10月2日付で雑誌Social Science Researchに掲載されています。

Scholarly culture: How books in adolescence enhance adult literacy, numeracy and technology skills in 31 societies
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0049089X18300607

研究を行った同大学のジョアンナ・シコラ博士らは、2011〜2015年に行われた国際成人力調査のプログラムに参加した31ヶ国の成人16万人以上のデータを分析しました。参加者らは、まず、16歳時点で家にあった本の数を尋ねるアンケートに答えます。数まで覚えていない場合は、1メートル幅の本棚に約40冊の本が収まると想定した上で回答するように指示されました。その上で参加者たちは、読み書き、計算、ICTのテストを受けました。

まず、家庭にある本の数は、トルコでは27冊、英国では143冊、エストニアでは218冊など、国によって平均が大きく異なりました。

そして、本がたくさんある家で育った人ほど、読み書き、計算、ICTのすべてに秀でていることが明らかになりました。全体の平均は80冊程の人の読み書き・計算スコアで、ほとんど本が無い家で育った人はすべてのスコアが平均以下だったとのこと。ただし、350冊を超えると顕著な影響が表れなくなりました。同様の相関がICTスキルにも見られましたが、読み書きや計算に比べて影響は緩やかでした。

また、高等教育を受けていなくても、家庭で本に囲まれて育った人は、本がほとんどない家で育った大学生と同程度に、成人時の読み書き・計算・ICTスキルが高いことがわかりました。つまり、思春期に家庭で本にたくさん触れることができた人は、教育上のアドバンテージを持つということです。

「思春期に多くの本に親しむことは、読み書き、計算、ICTスキルといった長期的な認知能力を育てる習慣の一つです。本に囲まれて育つことは、親の躾、学校教育、仕事を通じて得られる利益以上に、これらの認知能力を増大すると考えられます」と、シコラ博士は語っています。この調査では、ほとんどの地域において、教育レベル、職業、読書量が、人のリテラシーを示す強力な指標になることが明らかになりましたが、これは特に驚きではありません。注目すべきは、思春期に多くの本に触れることが、教育レベル、職業、読書量といった因子以上に効果を発揮すること。シコラ博士によると、人生の早い段階でたくさんの本を読むことで、生涯にわたって認知能力を強化することができるそうです。

電子書籍の普及が進んでいますが、紙の本は子どもが簡単に手に取れるという計り知れないメリットがあります。子どもの頃に多くの本に触れることで自然と身につく、語彙力、学力、教養、センスといった「文化資本」は、お金に直結するものではありません。しかし、回り回って結局は豊かさを左右するものなのでしょう。

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via: the guardian / translated & text by まりえってぃ

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