・3,700年前に、隕石もしくは彗星の空中爆発「エアバースト」によって中東の一地域が壊滅状態に陥った可能性がある
・その地域で見つかった陶器の一部の表面が「ガラス化」しており、この要因はエアバーストがもたらした「超高温」であると考えられる
・調査は今も進行中であり、この結論はまだ暫定的なものである
およそ3,700年前、中東の死海の北に位置する “Middle Ghor” と呼ばれる地域が、隕石もしくは彗星の空中爆発によって、そこに住んでいた人類もろとも消し去られた可能性があることが示されました。11月14日~17日に開催された “American Schools of Oriental Research(ASOR)” の年次会合にて、その概要が報告されています。
考古学者らが見積もった空中爆発の威力は凄まじく、500キロメートル四方を一瞬にして吹き飛ばし、都市を丸ごと1つ消滅させ、肥沃だった土壌を死海の塩分濃度の高い超高温の水で覆ってしまうものであったといいます。そして研究者によれば、その土壌が復活を遂げ、そこに市民社会が再建されるまでに少なくとも「600年」はかかったであろうとのこと。現在その場所は、ヨルダンの “Tall el-Hammam” といった史跡として存在しています。
爆発の証拠として Tall el-Hammam から発掘されたのは、表面が「ガラス化」した不思議な「陶器の一部」でした。これは、空中爆発により辺りの気温が急上昇することで、陶器内部のジルコンがガスに変わり、ガラス化したものと推測されます。また、この現象が起こるためには4,000℃以上の超高温が必要です。
爆発がもたらした影響は甚大なものでしたが、もちろん永続的ではありません。それを示すように、地表から遠い地下に埋まっていた陶器は比較的無傷であったとのことです。研究者によれば、このような現象は宇宙からの物質によるエアバーストが原因であるとしか考えられず、それは長い地球の歴史の中で時折起こってきたものであるといいます。つまり、1908年にシベリアで起こったツングースカ大爆発のようなことが、3,700年前の中東で起こっていたことが考えられるのです。
また、そのエリアにある別の街の調査にて、そこでおよそ3,700年前に大量の生命がこつ然と姿を消していたことも示唆されています。近くにクレーターは見つかっておらず、爆発したのが隕石なのか彗星なのかも分かっていませんが、「500キロメートル四方」といった限られた空間を壊滅させたことから、それが地表から「1キロメートル以内」といった低い高度にて爆発したことが考えられます。しかし、いずれにせよこの結論は暫定的なものであり、調査は今もなお進行中であるとのことです。
via: livescience / translated & text by なかしー