・クリスマスソングを繰り返し聴くことは精神衛生上良くない
・一定回数以上クリスマスソングを聴くと、脳が過飽和状態に陥り不快感を感じ始めるだけでなく、クリスマスにともなう他のストレス要因までもが喚起される
・クリスマスソングはお客の財布を緩める商業的効果もあると考えられている
もうすぐクリスマス。煌めくイルミネーションに彩られた街のあちこちから、クリスマスソングが聴こえてくる時期です。お祭り気分に心が浮かれている人もいる一方で、延々とループする定番クリスマスソングの洪水を浴びてげんなりしている人もいることでしょう。
クリスマスソングにイラっと来ている方は、これから一ヶ月近くもの間それを聴き続けなければいけないデパートやスーパー、飲食店などの店員さんへちょっぴり同情を分けてあげましょう。事実、クリスマスソングを繰り返し聴くことは精神衛生上良くないそうなのです。
臨床心理士のリンダ・ブレア氏によると、賑やかなお祭り気分の曲を持続的に聴くことで、心が消耗してしまうのだとか。「クリスマスシーズンに商業施設で働く人たちは、意識的にクリスマスソングに耳を貸さないように努めなければなりません。そうでもしないと、他のことに集中できなくなってしまいますから。耳に入ってくる曲を無視することに全エネルギーを注ぐ必要があります」と、ブレア氏は海外メディアNBCに語っています。
はじめは私たちを楽しい気分にさせてくれるクリスマスソングですが、10回、20回と繰り返し聴かされるうちに、次第に苛立ちが募り、退屈や苦痛を感じるようになるのは普通のこと。同じ曲を一定回数以上繰り返し聴くと、そのうち脳は過飽和状態に陥り、不快感を感じます。すると、クリスマスにともなう他のストレス要因(お金が掛かること、一緒に過ごす相手がいないこと…など)までもが頭をもたげてくるのです。
さらに、クリスマスが終わるとすぐにお正月を盛大にお祝いする日本では、年賀状をまだ準備していないこと、大掃除が終わっていないこと、帰省先の実家で苦手な親戚と顔を合わせなければならないこと…などが頭によぎり、焦りを感じる人もいるのではないでしょうか?
とはいえ、クリスマスソングは止むことがありません。お店側は、クリスマスソングがお客の財布の紐を緩めると考えているからです。実際、BGMに適度な割合でクリスマスソングを盛り込むことで、お客が店内の環境をポジティブに感じるという研究もあります。中にはシナモンやジンジャーなどのいかにも冬らしいアロマを漂わせるお店があるのも、同様の理由から。聴覚や嗅覚が人々の購買行動に与える影響は絶大なのです。
最近は、クリスマスソングが流れはじめる時期が早すぎるという声が欧米各地で挙がり、時期を後ろ倒しにする取り組みも始まっているのだとか。いっそクリスマス自体中止に…というわけにはいきませんが、年末の用事にてんてこ舞いのこの時期、クリスマスソングを耳からシャットアウトするという高度な技を身につけて、なんとか楽しく年越しを迎えたいものですね。
via: businessinsider / translated & text by まりえってぃ