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ブタの心臓をヒヒへ移植することに成功! 195日生き延びたケースも…人間にも可能なのか?

2018.12.06 Thursday

Point
・ブタから心臓移植を受けたヒヒが、健康な状態で最長「195日」生き延びた
・拒絶反応を緩和させるなど、以前の実験にいくつかの改善を加えることでこの結果が実現した
・人間とブタの臓器は似ており、さらに研究が進めば心疾患で苦しむ多くの人がブタに救われる可能性がある

遠くない未来に、人間がブタから心臓をもらえる日が来るかもしれません。新たな研究によりブタからヒヒへの異種心臓移植が「大きな進歩」をみせたことから、人間への心臓移植も現実味を帯びてきたのです。

Consistent success in life-supporting porcine cardiac xenotransplantation

https://www.nature.com/articles/s41586-018-0765-z

毎年世界で多くの死者をもたらし、日本人の死亡原因の2位でもある心疾患において最も多いパターンは「冠状動脈性心疾患」と呼ばれるもの。これは、心臓に血液を供給する冠動脈で血流が悪くなり、心臓に障害をもたらしてしまう病気の総称を指します。そして、このような重い疾患を抱える患者を長期的な視点で救う手立ては「心臓移植」しかありません。

しかし、そこで肝心な移植するための心臓は圧倒的に不足しています。多くの人が移植を待つリストに載っていますが、実際に心臓の供給を受けることができる人はわずか一握り。そこで白羽の矢が立ったのが、臓器が非常に人間のものと似ているとされる「ブタ」なのです。

この実験では、実際にブタの心臓をヒヒに移植するといった「異種移植」が行われました。その結果、同じ処置が施された5匹中4匹のヒヒが移植後90日以上にわたって健康を保っており、中には「195日」を過ぎても健康を維持させているヒヒもいたというのです。

以前にも同様の実験が行われましたが、そこでの最長は「57日間」にとどまっていました。そこで、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンの研究チームは、合計16匹のヒヒを3つのグループに分けて異なる方法を試すことで移植のプロセスを改良させ、今回の結果につなげました。

成功例においては、ブタの心臓にヒヒの免疫システムが反応(拒絶反応)しないように、免疫抑制剤が用いられました。また、免疫抑制剤の働きを助けるステロイドも投与されましたが、ステロイドには急激な筋肉増強作用もあるため、研究チームはその量を以前の実験時よりも減少させたとのことです。

慢性的な「ドナー不足」の解消のため、他の動物からの臓器移植の可能性は長い間議論されてきました。しかし、人間の多様かつ強力な免疫反応の存在が、その実現を阻止してきた現実があります。その点、異種移植において拒絶反応を軽減させた今回の実験には大きな意義があります。ブタの心臓を体に取り入れることは心理的な抵抗を生むかもしれませんが、これが普及すれば、ブタは多くの心疾患で苦しむ人を救う「救世主」となるはずです。

身体から離した豚の脳を36時間「生かす」実験が成功する。意識はあるの?

via: independent / translated & text by なかしー

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