■孵化前の卵から性別を簡単に識別する技術が開発された
■レーザー光線で殻に開けた微細な穴から中の液体を採取し、ある化学物質と混ぜた時の色の変化で性別が分かる
■この技術を使えば、生きた雄のひよこに痛く怖い思いをさせずに済む
私たちが毎日のように口にする卵や鶏肉。これらの多くは、工場式畜産と呼ばれる食肉の大量生産システムの中で生産されています。
実はその過程で、雄のひよこが「間引き」される事実を知っていましたか?
卵を産むこともできなければ、与える餌のコストに見合うだけの速度で成長する経済性も持ち合わせていない雄。
彼らに待ち受けているのは残酷な死という現実です。窒息させられたり、生きたまま粉砕機に入れられたりといった方法で屠殺され、爬虫類の餌として利用されます。年間で世界中で屠殺される雄のひよこの数は、40〜60億羽にも上ると推測されています。
この非道な「間引き」問題に終止符を打つブレイクスルーになるかもしれない世界初の技術が、ドイツで誕生しました。ドイツ国内でスーパーマーケット・チェーンを展開するReweグループが手掛けた「よりサステナブルな卵」の開発プロジェクト“Seleggt”(selectとeggを掛けた造語)により、孵化前の卵から性別を簡単に識別する方法が開発されたのです。
孵化前に卵の性別を判定
その新技術は、受精からわずか9日しか経っていない卵の性別を判別できるというもの。雄だと分かれば、卵の段階で動物の飼料に加工されます。孵化前に性別が判明することで、生きた雄のひよこに痛く怖い思いをさせずに済みます。
開発のきっかけは、プロジェクト・マネジャーのルドガー・ブレロー氏が、雌の卵に多く含まれるホルモンを探知する「化学マーカー」を開発した、ライプツィヒ大学のアルムト・アインスパニエル氏に話を持ちかけたこと。
この化学物質を受精9日目の卵から採取した液体に混ぜると、雄の場合は青く、雌の場合は白く変色します。言ってみれば、妊娠検査薬のようなものです。さらにその精度は、98.5パーセントとかなり高いものでした。