■おいしいものは「胃」を幸せにしない?
実験では、12人の健康なボランティアがPET検査で記録をしながら「おいしいミルクセーキ」か「味のない液体」のどちらかを口にしました。その結果、興味深いことに被験者の「ミルクセーキが飲みたい」といった欲望のレベルが高ければ高いほど、はじめに放出されるドーパミンの量が多く、2度目のドーパミンの放出が少ないことが明らかとなりました。
「胃」によってもたらされる2度目のドーパミンが抑制されることは、強く「食べたい」と思ったものを食べ過ぎてしまうといった現象につながってしまいます。人は十分な量のドーパミンが放出されるまで、食べることを止められないのです。つまり、おいしいものをついつい食べ過ぎてしまうのは、2度目のドーパミンが不足しているからなのかもしれません。
「口」ではおいしい食べ物も、「胃」はあまり幸せにしてくれないことが分かったこの研究。研究を率いたHeiko Backes氏は、この仮説にはさらなる研究が必要であるとしていますが、研究が進めば「食べ過ぎ」を防ぐための画期的な方法が編み出される可能性もあります。