「早期発見」には大きなメリットがある
こうした自閉症診断の大半は、子どもの「会話能力」を試験する方法を採っているので、症状の発見には出生から少なくとも数年はかかります。この現況に対してクレツァ氏は、「新生児の神経組織はまだ柔軟で可塑性があるため、早期の発見によって欠陥部位を鍛え、症状の進行を防ぐことができる」と語り、早期発見の重要性を説いています。
つまり、自閉症の発見が遅れてしまえば、その分対処も遅れてしまい、症状は大きく進行してしまうのです。しかし、今回クレツァ氏が発見した方法は、中耳に様々な周波数の音を与えることで筋肉反応を確認するものであるため、すべての新生児を対象とすることができます。また、この聴覚テストは身体に無害なもので、乳児の健康を阻害することなく実施が可能であるとのことです。
クレツァ氏は、「今回の発見に基づいて、医師たちは音に焦点をしぼった対処法を模索するべきだ」と語ります。例えば、子どもが特定の音に怖がったり、敏感に反応するようであれば、医師や保護者はその音を遮断するように努めることが求められます。
つまり、唐突に発話教育を始めるのではなく、まずは「音への反応」を見極めることが重要となります。すなわち、聴覚を適切にトレーニングすることが、成長にともなう言語機能の向上の土台となっていくのです。
クレツァ氏は、今後この聴覚テストが世界中の新生児すべてに実施されることを目標として、さらなる研究に勤しんでいます。
reference: dailymail, independent / translated & text by くらのすけ