■BGMが流れる環境では、静かな環境と比較して、創造性が著しく損傷されることが判明
■歌詞の有無や、歌詞が母国語か外国語かといったことに関係なく、BGMは創造性に害を与える
■音楽が言語作業記憶の働きを邪魔する可能性
勉強や仕事をする時、あなたは音楽をかけますか?「BGMがあった方がノリノリで取り組める」という人もいれば、「BGMが無い方が集中できる」という人もいますよね。
ランカスター大学(英国)などの心理学研究チームが、創造力を要する課題に取り組む際に、BGMがそのパフォーマンスに与える影響を調査しました。
その結果、歌詞の有無や、歌詞が母国語か外国語かといったことに関係なく、BGMが流れる環境では、創造性が著しく損傷されることが判明しました。
彼らは、BGMが流れる環境と、流れない環境の両方において、被験者に言語課題を与えました。言語課題は、創造性を測るものさしになります。
被験者に与えられたのは、dress(ワンピース)、dial(ダイヤル)、flower(花)といった3つの単語の組み合わせです。
被験者は、これら3つの単語に共通する語幹を見つけ、複合語を作るよう指示されました。たとえば、dress、dial、flowerという単語はいずれも、sunという語幹と組み合わせて、複合語にすることができます。
BGMを流す場合、曲は3種類用意されました。
ひとつは、歌詞の無いインストゥルメンタル。
馴染みのある歌詞(母国語)の曲。
そして、聴いたことがない歌詞(外国語)の曲です。
その結果、BGMが流れる環境では、BGMが流れない環境と比較して、パフォーマンスが明らかに下がることが判明。つまり、BGMが創造性を「著しく損なう」ことが明らかになったのです。
しかも、気分を高揚させたり、作業中に実際よく聴くような、馴染みのある歌詞の曲の場合でも、創造性が下がることに変わりはありませんでした。
研究チームは、音楽が言語作業記憶の働きを邪魔するためではないかと指摘しています。
「音楽は創造性を高める」という世間に広く受け入れられている既成概念を真っ向から否定する、この研究。もしかしたら、音楽そのものが創造性の産物であることから、拡大解釈されてしまったのかもしれませんね。
普段はBGMをガンガンかけている方も、創造力を求められる場面では、ちょっと音楽を止めてみるのも良さそうです。かつてないほどクリエイティブな自分に出会えるかも…。