演奏できる「楽器」はありますか?
憧れはするものの、なかなか実際に手をつけるにはハードルが高いと思っている人も多いのではないでしょうか。
“TED-Ed” が、楽器の演奏が「脳」にもたらすメリットについて紹介しています。これをみると、すぐにでも楽器を始めたくなってしまうかもしれません。
私たちが「読書」をしたり「計算」をしているとき、脳の特定の領域が活動しています。
では、音楽を「聴いて」いるときはどうでしょう?
つまり、脳内の複数のエリアがいっせいに光を放っているのです。
リズムやメロディなどを分離して処理したかと思えば、
それらを結合させて「音楽」としての体験をします。
それでは、聴くだけではなく「演奏する」場合はどうなるのでしょう?
驚くべきことに、小さかった花火は大きな「花火大会」に姿を変えます。
そこでは、脳が「全身運動」をしているときのような動きをみせます。
同時に様々な情報が行き交い、脳内で一瞬の内に複雑な相互作用が生み出されるのです。
なぜ楽器を使って演奏することに、このような効果があるのでしょう?
まだ新しい研究ですが、神経科学者たちはもっともらしい仮説を提唱しています。
楽器の演奏によって脳の様々な領域が反応しますが、特に「運動野」「聴覚野」「視覚野」が活性化されます。
そして、実際に「演奏する」ことでそれらの領域が動かされ、全身運動をしているときのような脳の状態になると考えられているのです。
さらに、音楽の演奏には「技巧」や「楽曲の理解」といった要素が必要となります。そのため多くのミュージシャンが、高いレベルの「実行機能」と呼ばれる認知システムを備えています。
そして実行機能は、私たちの「記憶システム」にも大きな影響を与えます。
すなわち、実行機能に優れたミュージシャンは、記憶の記銘、貯蔵、想起のサイクルを、より効率的にこなすことができるのです。
まるで優秀な「検索エンジン」であるかのようです。
「楽器の演奏」が脳に特別な影響を与えていることは理解できましたが、果たしてそれは楽器の演奏に限った効果なのでしょうか?
「スポーツ」や「絵画」など、他の活動では同じことは起こっていないのでしょうか?
今日における神経科学者たちの回答は “No”。
「楽器の演奏」によってのみ得られるものがあると主張します。
ある実験では、認知機能が当初同じレベルであった複数の被験者に様々な楽器を練習させたところ…
楽器を学ばなかった人と比べて、脳内の複数のエリアにおける機能の向上が確認されました。
さて、音楽をただ「聴く」だけでなく、実際に「演奏する」ことの不思議なパワーを理解していただけたでしょうか?
これまでリコーダーくらいにしか触ったことのなかった人も、この機会に新たな楽器にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/18238
via: thekidshouldseethis / translated & text by なかしー