お客との関わりが単発的な接客業は営業スマイルが割に合わない!?
また、衝動性の高い人が、お客との関わり方が単発的な接客業に就いている場合は、さらに顕著な相関が見られました。コールセンターやカフェなどでは、医療や教育といった患者さんや子どもたちとの長期的な関係構築が求められる職場と違って、お客との関係はその場限りであることがほとんどです。
グランディー氏は、こうしたサービス業に就く人々は、社会に出て働き始めたばかりの若年層であるケースが多く、その分自己制御に長けておらず、表面的行動という犠牲を埋め合わせるだけの経済的・社会的報酬を得られない可能性を指摘しています。つまり、十分な見返りが無いにもかかわらず、作り笑顔を装うことを強いられるために、終業後には一気にタガが外れてしまうのです。
逆に、労働者自身がその仕事を割に合うと感じているかぎりは、表面的行動は問題に繋がりにくいようです。たとえば、看護師が表面的行動をとることには、「患者さんを安心させ、良好な関係を築く」という大きな目的があります。
これに対して、もう二度と会うことがないかもしれないお客のために表面的行動をとることには、それほどの見返りがなく、結果的により多くの労力を要するというわけです。
人の笑顔は確かに良いものですが、「お客様は神様」の文化が深く根付いた日本では特に、営業スマイルの裏にある負の側面にも目を向けてみる必要がありそうです。