■米国で自殺行動や自殺念慮で救急来院する子どもの数が、2007〜2015年の間でほぼ倍増したことが判明
■その半数近くは5〜11歳の幼い子どもだった
■精神ケア人材の増員、子どもの自殺への小児科医の対応整備、救急処置後の自殺リスク低減の取り組みが課題
世界的に増加の一途をたどる自殺者数。特に米国では、若年層の自殺者が急増しており、大きな社会問題となっています。
米国の研究チームが行った調査で、米国で自殺行動が原因で救急窓口に運び込まれる子どもやティーンエイジャーの数が、2007〜2015年の間に2倍近くにまで膨らんだことが明らかになりました。その平均年齢はわずか13歳。
しかも状況は加速度的に悪化しており、決しては現状がピークではなさそうです。論文は「JAMA Pediatrics」に掲載されています。
https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2730063
米国では5日間で1人の子どもが自殺
研究チームが用いたのは、疾病対策予防センター(CDC)が収集したデータ。無作為に抽出した米国内の救急救命室300施設それぞれにおける5〜18歳の子どもの救急来院およそ3万件の内容を分析しました。その結果、調査を始めた2007年の時点では約58万件だった自殺行動や自殺念慮による救急来院数が、2015年には112万件にまで跳ね上がったことが明らかになりました。
この傾向は、1993年から2008年までのデータを分析した別の調査でも示されています。今回、同じ傾向が再現されたことで、当局は危機感をつのらせています。自殺は公衆衛生の大きな関心事の1つであり、10〜18歳の子どもにおける2番目の死因です。自殺念慮が必ずしも命の危険に繋がるとは限りませんが、将来的な自殺行動を示唆する重要な手がかりになることは確かです。
さらにショッキングなのは、自殺行動が原因で来院した子どもの半数近くが5〜11歳の幼い子どもたちだったことです。CDCによる1999〜2015年のデータでは、5〜12歳の子ども1,309名が自ら命を絶ったことが示されています。これは、ほぼ5日間で1人に相当するペース。背筋が凍るような痛ましい数字です…。