■ハッブル宇宙望遠鏡の活動が29年目に入ったことを祝って、NASAが「南のかに星雲 」の映像を発表した
■星雲の中心には、赤色巨星と白色矮星が連星を成し、赤色巨星が放出する物質を白色矮星が吸収している
■星雲の正体は、ハッブル宇宙望遠鏡によって次第に解明されてきたが、2020年にはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が役目を引き継ぐ予定
ハッブル宇宙望遠鏡の活動が29年目に入ったことを祝って、NASAが「南のかに星雲 (Southern Crab Nebula, Hen2-104) 」の映像を発表した。南の「かに星雲」は、地球から約7,000光年離れたケンタウルス座の星雲だ。
何と言っても特徴的なのは、その砂時計のような形。北天にあるかに星雲に似ていることからその名がつけられた。たしかにカニの足っぽい…?
星たちが舞う「重力のワルツ」
星雲の中心には、赤色巨星と白色矮星が連星を成している。映像からは、赤色巨星が絶え間なく放出する物質を、白色矮星が吸い込みながらくるくると回転する様子が見てとれる。まるで、星たちが舞う「重力のワルツ」だ。
中心から外へ向けては、大量のガスが宇宙空間へ向かって勢いよく噴き出している。白色矮星が吸収しきれなかった物質が溢れ出ることで、砂時計状の構造を作るのだ。
砂時計の縁には水素・硫黄・窒素・酸素でできたガスや塵の泡が集まり、ひときわ明るく輝いている。
欧州宇宙機関 (ESA) によると、赤色巨星が、それ自体を取り巻く層の噴出を止め、白色矮星に「食事」を与えなくなる時が、いずれ訪れるのだそうだ。
それまでは数え切れないほどの噴出を繰り返し、さらに複雑な構造を形成するのだろう。今はカニや砂時計のように見えるが、今後は全然違う見た目に変化する可能性だってある。