■タバコ以外でニコチンを摂取する「ニコチン代替療法(NRT)」の有効性と上手な活用方法が調査された
■NRTを効果的に活用するには「3つのコツ」を意識することが重要である
■NRTから摂取するニコチンにはタバコほどの中毒性はないため、安心して活用することができる
「毒をもって毒を制す」というべきか…
タバコに含まれ、この世で最も中毒性の高い物質の1つとして知られるニコチン。この厄介者のせいで禁煙をなかなか達成できないという人も多いだろう。
しかし、健康増進を目的とした医療調査をおこなっている「コクラン」による新たな調査で、驚くべき結論が導き出された。そこでは、禁煙を成功させるためにはニコチンを減らすどころか、逆にうまく活用することが推奨されたのだ。
Different doses, durations and modes of delivery of nicotine replacement therapy for smoking cessation
https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD013308/full
NRTをうまく活用する「3つ」のコツ
しかし、もちろんこれはタバコを吸いまくってニコチンの量を増やすことを意味しているのではない。ニコチンに中毒性があることは認めた上で、ニコチンをタバコ以外の方法で摂取する「ニコチン代替療法(NRT)」を活用することが有効であるということだ。
NRT自体は20年以上前から知られており、多くの国で医者が同療法に基づく処方をおこない、今では薬局でも市販のNRTグッズが手に入るほどだ。今回の調査は、そんなNRTを禁煙のために活用するベストな方法を探るものであり、結論として「3つの手法」が提案された。
まず1つ目は、2つのNRTを同時進行させるということだ。パッチ、チューインガム、スプレー、吸引器などNRTにも多くの種類があり、どれを使用するのか迷うかもしれないが、たとえばパッチを貼りながらガムを噛むなど、NRTを組み合わせたほうが禁煙の成功確率が上昇することが分かっている。
2つ目は、禁煙期間に入る前にNRTに着手するということだ。たいていの人は禁煙を始めたタイミングで同時にNRTを始めるが、これはオススメできない。実際に禁煙を始める数週間前からNRTをスタートさせると、禁煙が成功しやすいとのことだ。
最後の3つ目は、当然かもしれないが、ヘビースモーカーほど強いニコチンを持つNRTを使用すべきということだ。たとえばガムの中にもニコチンが2mgのものや4mgのものがある。調査の中では、14-15mgのニコチンパッチを使用するよりも、21-25mgのものを使用したほうが高い禁煙効果が得られた。