回転軸と軌道面のズレで「歳差運動」が起きていた
噴出の様子を詳しく観測してみると、放射線は同じ向きではなく、アッチコッチ方向を変えていることが分かった。
主任研究員のジェームズ・ミラー・ジョーンズ氏によれば、通常ブラックホールからの噴出は降着円盤の軌道面から決まって「垂直に」噴き出すと言う。
そして電波望遠鏡(超長基線アレイ)を用いてより細かく分析すると、ブラックホールの「回転軸」と降着円盤の「軌道面」が斜めにズレていることが判明したのだ。

回転軸のズレによって降着円盤に「ぐらつき」が生じて、ドーナツ部分に歳差運動を起こしていたのである。歳差運動は止まりかけのコマのように、自転軸が円を描いて振れる現象だ。
ただし、このブラックホールは止まりかけのコマと動くは似ているもののスピードは桁違いに速い。
数分から1時間以内と、かなり短いスパンで方向が変化していることから、ブラックホールの中心部が急速に回転していることが推測できるのだ。

回転軸と軌道面のズレの理由はまだ分かっていない。一説では「ブラックホールが生み出す超新星爆発の威力で、回転軸がズレたのでは」と考えられているが定かではないとのこと。
今後の解明が待たれる。
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