Point
■かつては海を持つ水の惑星だったという火星。その大量の水が失われたメカニズムについて新たな研究が報告された
■水が消失した原因は、水蒸気が太陽光線で分解され、一部が水素となって宇宙空間へ逃げてしまった為である
■このメカニズムにより、火星はかつて持っていた水の80%近くを宇宙へ消失している可能性がある
テラフォーミングされ水の惑星となった未来の火星…ひょっとするとそんな火星の姿は永遠に実現できなくなるかもしれない。
かつては星を覆うほどあった火星の水は水蒸気となって高層へと運ばれた後、太陽光線により分解されて大部分が宇宙空間へ流出してしまった可能性があるというのだ。
このシミュレーションが正しければ、火星は元あった水の80%以上を既に消失しているという。
この研究は、モスクワ物理工科大学とマックス・プランク太陽系研究所の共同研究者チームから発表され、4月16日付けで米国地球物理学連合(AGU)の研究レターにて報告されている。
https://agupubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1029/2019GL082839
火星の水はどこへいったのか?
火星には大きな河川や海があったと思われる痕跡が発見されている。火星調査の結果では、数十億年前の火星は水に包まれた惑星であったと言われている。
これまでの定説では、その大量の水は永久凍土となって地下に埋蔵されていると言われていた。確かに火星の北極や南極に当たる場所には、極冠と呼ばれる巨大な氷床が見つかっており、ここに凍結した水の多くが集まっていると考えられる。
火星のテラフォーミングを語る場合、まずはこの氷を溶かして火星をかつての水の惑星に戻すという計画が主流だ。