月の内部構造
月にも地球同様の、コアやマントル、マグマといった内部構造を持っているものと考えられている。
重力は一般的にマグマが固まって酸化鉄を形成した場所では大きくなることが確認されている。
今回の重力分布調査に関する解析研究では、月の南極下部にある重力異常について、巨大な金属の塊があることを示している。そしてこれはマントルの上部に吊り下げられるような形で存在しているようだ。
巨大クレーターの真下に位置していることからも、この大質量の正体は、40億年前に月へ衝突し太陽系最大級のクレーターを作り出した小惑星の残骸と考えられる。そのコアが、マントルに溶けずに未だ月の地下深くに保存されているのだ。
もちろんこれがマグマの固まった高密度の酸化鉄の塊である可能性も残っている。しかし、それがこの場所に密集する理由は、小惑星の衝突がマントルを押し上げて高密度のマグマを噴出させた可能性が高い。
太陽系最大のクレーターを作るような小惑星は、衝突するまでの間に、おそらく太陽系のあちこちに様々な影響を与えた可能性が高い。しかし、そうした痕跡はほとんど失われてしまっている。
このクレーターの重力異常は、そんな失われた太古の記録の一旦なのだ。
この重力の解析から、より詳細な月の形成過程が明らかになっていくかもしれない。